【新時代のリスクマネジメント(3)】課題の整理① 休校中の児童生徒への対応

常葉大学教授 木宮 敬信
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前回、危機管理の一環として、信頼関係を築いておくことが重要であると書きました。

今回の新型コロナウイルス感染対策において、評価を上げた政治家や自治体の長もいれば、下げた人もいます。中には「やっぱり〇〇ではダメだ」などと言われている方もいますが、これはそれ以前の取り組みなどの評価により、既に信頼関係が壊れてしまっていたことを示しています。このような状況では、関係者をうまくコントロールするのは困難でしょう。リーダーが信頼されていることが重要であることは、どの世界も一緒です。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、学校現場ではさまざまな課題が浮き彫りになりました。これらの課題は今後、学校の危機管理に反映されていくものとなります。

まずは臨時休校における課題を考えてみましょう。児童生徒への教育活動を継続させるために、オンライン授業をスタートした学校もありましたが、通信環境の整備、必要な端末の確保、児童生徒のネット環境の把握など、現場は多くの課題に直面しました。

特に小学校の場合は、自分の端末を所持していない児童が多いため、タブレット端末で教育を進める一部の私学などを除けば、足並みをそろえての実施は難しいものがありました。

休校の期間も自治体によって異なり、地域間、学校間で教育格差が生じ、受験への影響が心配されています。また、実技を含む授業などをオンラインで実施することは難しく、教科による偏りが見られるだけでなく、部活動や外部スポーツ団体の活動休止などにより、児童生徒の運動不足の課題も生じています。これまで防犯上の理由からネット利用を制限させてきた学校もありましたが、これからの方向性を再検討する必要が出てきたのではないでしょうか。

その他、保護者が不在となる家庭の生活安全(防犯)上の課題、逆に常に保護者と共にいることによる虐待の増加など、家庭内の安全管理に関する課題も指摘されています。地域によっては外出自粛の中でも多くの児童生徒が休日のように外出する様子が見受けられ、生活面の乱れも心配されています。

WHOは、健康とは身体的、精神的、社会的の3つの側面で良好な状態にあることと定義しています。感染症対策のための休校ですが、WHOの3つの観点から見ればマイナスの影響も大きく、総合的に見て不健康状態になってしまった児童生徒も少なくないと考えられます。

休校時に児童生徒の健康的な生活をどのように維持するのかについては、今後の大きな検討課題と言えます。次回は、学校が直面したその他の課題を取り上げます。

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