【困った保護者とどう向き合うか(10)】困った保護者への対応―連載のまとめ―

日本大学文理学部教授 佐藤 晴雄
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本連載ではこれまで、幾つかの事例を取り上げて解決のヒントを示してきた。連載を終えるに当たり、望ましい保護者対応の在り方を整理してみる。

一つ目は、初期対応に配慮すること。初期対応については本連載の第5回で取り上げたが、最も大切なのは初期対応を丁寧に行うことである。苦情の申し出や面談の求めがあれば、服装や場所にも気を遣う必要がある。来校日時を約束した場合は、ジャージ姿のまま立ち話で済ませようとしてはならない。

二つ目は、保護者を「敵」と見なさないこと。企業の「お客様担当者」も強調しているように、保護者(顧客)を「敵」と見なしてはならず、悩みを持つ優しい親として扱うことが大切になる。相手の言い分にすぐ反論や否定をしたり、嫌そうな態度で面談したりしないことが重要である。

三つ目は、相手の枠組みにむやみに入らないこと。教員は、保護者から一方的に日時を指定されて呼び出されたり、いきなり来校した保護者に時間無制限にまくし立てられたりすることがあるが、こうした対応は相手の枠組みに入り込んでしまうことになる。その結果、無理難題を押しつけられ、保護者の要求はヒートアップしてしまう。そのため、対応は日時を約束し、面談時間を区切った上で保護者に来校を求める必要がある。保護者宅などに赴く必要がある場合は1人で訪問せず、上司や同僚と同行することも重要だ。

四つ目は、深刻な事案には1人で対応しないこと。いじめや体罰など問題が深刻な場合は1人で対応せず、必ず複数で対応する。問題を1人で抱え込んではならないからである。保護者が複数で来校した場合は、それ以上の人数で対応するのが望ましい。ただし、ささいな相談事ならばこの限りではない。

五つ目は、保護者の目の前で記録を取ること。無断録音の可否については議論の余地があるため、録音する場合には事前に相手の承諾を得るようにする。また、録音ができない場合には、相手の目の前で要点などをメモしておく。録音やメモは相手が感情的になるのを抑える効果もある。

そして六つ目は、心配させたことをわびること。事の真偽が曖昧な場合でも、保護者を心配させ、足を運ばせた行為に対しては誠意を持ってわびる。学校のミスなどを謝罪するのではなく、「ご心配をお掛けしましたことについては、おわびいたします」といった具合に、「心配させたこと」を対象にわびる。ただし、学校の非が明らかな場合は、そうした限定的なわび方はむしろ誠意を欠くように思われてしまう。

そのほかにも対応の要点はあるが、少なくとも以上六つの点については、対応の基本的な在り方として押さえておきたい。

(おわり)

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