【話し合いの場づくり(6)】言語化ノートをつくる

株式会社博報堂H-CAMP企画推進リーダー 大木 浩士
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生徒たちが質の高い話し合いを行うためには、4つの慣れが必要だと考えています。

①自分の中に意識を向け、思考やひらめきの存在に気付くことへの慣れ。

②それらを言語に変換することへの慣れ。

③会話を通して、他者に考えを告げることへの慣れ。

④他者からの反応や評価を受け止めることへの慣れ。

 

第3回でご紹介した「話し合いのルールを伝える」は、上記③④の慣れを補うための技術です。緊張や不安の要素を取り除き、安全で安心できる場をつくる効果があります。

今回は、①②の慣れを育む技術、「言語化ノートをつくる」のご紹介です。

 

私の息子は、2020年4月に、中学1年生になりました。コロナ禍により登校ができず、学校からたくさんの宿題が出されました。その半数くらいは、「考えをまとめてレポートを書く」というもので、息子は途方に暮れました。作文や感想文など、自分の考えを文章で表現することが、非常に苦手だったからです。

私は「言語化ノートをつくる」というワークを、息子に課しました。内容は次の通りです。

  • 宿題の時間が終わった後、毎日7分、この専用のノートに文章を書く。
  • 書くことは、頭に浮かんだこと。それを言葉にして、文字として書いていく。
  • 書く内容は、どんなことでもいい。勉強に関係なくても、もちろんいい。大好きなゲームのことでもいいし、親への不満でもいい。
  • このノートは、絶対に誰も見ない。
  • ルールは、たくさん書くこと。きれいな字はいらない。無理に漢字を使わなくていい。消しゴムも使わない。

 

初日に、1冊の大学ノートを息子に渡し、今日で約2カ月です。現在は平日だけでなく、土日にも必ず行うようにしています。息子に感想を聞くと、「楽しい!」と答えます。学校の宿題は嫌いだけど、このノートを書く時間だけは楽しいそうです。

感想を聞いたところ、次のような話がありました。

「内容は、しょうもないことしか書いてない。人に見られると恥ずかしい」

「初めは考えを言葉にできなかったが、今はとても簡単に思える」

「文字を書くスピードは、かなり速くなった」

「書いていると、書くこと(考え)がどんどん浮かんでくる」

「新しいアイデアが浮かんできたりもする」

「まあ、暇つぶしにもいい」

 

人間の集中力が続くのは、7分間程度と言われます。その時間をフルに使い、自分の関心事をテーマに、自由にどんどん書いていく。
実はこれ、私が約20年間、毎日続けていることでもあります。思考の回路や言語化力が、日を追うごとに養われていきます。ぜひ試してみてください。

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