【新時代のリスクマネジメント(9)】登下校の安全を考える

常葉大学教授 木宮 敬信
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新型コロナウイルスの感染対策として、学校再開後は分散登校や公民館などの学外施設の利用の検討が求められています。これらを実施する場合は登下校の在り方が大きく変わることとなるため、安全管理を見直す必要があります。

学校保健安全法第27条(学校安全計画の策定)において、学校は「児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導」について計画を策定し、実施することとしています。つまり、登下校に関しては学校外であるものの、学校管理下としての安全管理や安全教育が求められるのです。

これまで、特に小学校では通学路の安全点検に加えて集団登校の実施、教職員による登下校指導など、交通事故や犯罪被害の防止を目的にさまざまな取り組みが行われてきました。

一方で、2017年に文部科学省より「学校における働き方改革に関する緊急対策」がまとめられ、19年1月には中央教育審議会が答申を取りまとめました。この中で、登下校対応における教師の負担感が大きいことを踏まえ、登下校時の見守り活動の日常的・直接的実施は、必ずしも教師が担わなければならないものではないこと、基本的には学校・教師の本来的な業務ではなく、地方公共団体や保護者、地域住民など「学校以外が担うべき業務」であることが明記されました。

この答申は「教職員の働き方改革」という視点から書かれたものですが、学校によっては通学路の見守りを学校以外に任せた場合、児童生徒の安全を十分に担保できないケースも出てくるのではないでしょうか。

このように、通常時でも大変な登下校の安全確保ですが、分散登校や学外施設への登校を実施した場合、「集団登校やボランティアによる見守り活動の実施が難しいこと」「通学路が変わることによる安全点検の実施」など、さらなる困難が予想されます。

こうした事態が長引くことも予想され、早急にできる限りの対策が求められます。自宅でのリモートワークに移行した父親を新たにボランティアとして組織化するなど、これまでにないアイデアを検討する必要があるでしょう。

事前の危機管理における体制を整備するためには、「家庭・地域・関係機関等との連携」が大きな柱となります。地域学校安全委員会の設置などを通じて、さまざまな立場の人が一堂に会し、情報を共有し、知恵を出し合う仕組みを作ることが第一歩となります。

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