【話し合いの場づくり(8)】先生も自己開示をする

株式会社博報堂H-CAMP企画推進リーダー 大木 浩士
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発想力を育む、活気ある話し合い。その場づくりに大きな影響を与えるのが、先生と生徒との関係性です。

人の関係性を良くするために、大切なことが二つあります。一つは、相手を理解すること。もう一つは、自分を理解してもらうことです。お互いを理解し合えた関係は、素敵ですね。

 

相手を理解するには、相手の状況や事情を丁寧に把握することが必要です。また、自分を理解してもらうには、心を開き、自分のことを相手に伝えることが必要です。質の高い場をつくるには、生徒のことを把握するだけでなく、先生が自ら「自己開示」をすることも必要になるのです。

自己開示とは、自分の個人的な情報を相手に伝える行為です。自分が好きなことや楽しいと思うことを話してみる。生徒が興味を持っていることについて、「実はそれ、先生も気になってた!」と伝えてみる。

このようなコミュニケーションを通して、生徒のあなたに対するイメージは、「無機質な存在」から「人間味のある少し身近な存在」に変わっていきます。そして生徒は、あなたをモデルとしながら、話し合いでの自己開示の仕方を学んでいくのです。

 

生徒の笑顔を引き出す自己開示のコツを、一つお伝えしましょう。それは、「弱みを見せること」です。

笑顔を引き出すために、まずすべきこと。それは笑顔の障害となる、緊張と恐怖を取り除くことです。

あなたは教室の中で、生徒に緊張と恐怖を与える存在ですか?もしそうなら、あなたに対するそのイメージを和らげることが必要です。

例えば、「実は先生、こういう話し合いの場づくりって、あまり慣れてなくて」と正直に言ってみる。こんなことを言うと、生徒になめられると思いますか?私はそうは思いません。弱みを見せることで、生徒の緊張はほぐれ、あなたを身近な存在と感じ、場に明るく自由な空気が漂いだします。

それとは逆に、自己開示の際、やってはいけないことがあります。それは、自慢話です。

生徒が感じる授業の課題、実はその上位にくるのが「先生の長い自慢話」です。自分を偉く見せたい。尊敬される存在でいたい。そんな心の欲が生徒に見抜かれ、嫌悪の対象になっているのです。

 

話し合いの質を高めるために、持つべき重要な認識があります。それは、「教える立場を脇に置いておく」というものです。

正解がない話し合いに、教師は存在しません。進行役がいるだけです。

話し合いで大切なのは、気付き合いです。全員が気付きを与え、受け取る存在なのです。「教える」のではなく、「全員でクリエイトしていく」。先生も一緒になって、気付きを楽しんでいく。その感覚を、ぜひお持ちになってみてください。きっと授業が変わります。

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