【スクールソーシャルワーク(3)】スクールソーシャルワークとは 価値と全体像

大阪府立大学教授 山野 則子
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子どものSOSを見逃さない スクールソーシャルワーク


防げなかった悲惨な児童虐待事件、少年事件、起きてしまった問題をその現場だけの課題にしてしまうと、その後も防げない。根本的なところから見直す必要がある。そうした視点から、本連載ではこれまで、学校組織と教職課程カリキュラムの課題を俯瞰的に見てきた。他方で、ポスト・コロナ休校によって今まさに問題が生じている可能性があり、取り返しのつかない問題にならないよう、最善を尽くしたい。教育課程に福祉科目が入るのを待っているわけにはいかず、ここでは現職の教員向けに福祉の視点を紹介する。


ソーシャルワーク(以下、SW)のグローバル定義は、「社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である」とされており、ミクロだけではなくマクロを対象とすることが分かる。それに基づく理念は「社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理」であり、「SWは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう人々やさまざまな構造に働きかける」とされている。


こうした考えを基本に、学校を基盤に実践するのがスクールソーシャルワーカー(以下、SSWer)であり、子どもの最善の利益を理念に、具体的には子ども家庭、学校、教育委員会、地域や関係機関に働き掛け、子どものQOLの向上のみならず、支え合う学校、地域をつくることが目標である。……

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