【Withコロナ時代の体づくり(1)】コロナ禍で懸念される運動不足

東京学芸大学准教授 鈴木 直樹
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2015年9月に国連のサミットで発表された「持続可能な開発目標(SDGs)」の1つとして「全ての人に健康と福祉を」という目標が設定され、2030年までに実現すべき9つのターゲットが示されています。

身体活動は、基礎的な体力や身体能力のみならず、健全な人間関係や良質なコミュニケーションにも強く影響すると言われ、子供の心身の発達に重要だとされます。すなわち、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも全てが満たされた状態にあるWell-Beingを保障するためにも、身体活動は重要です。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワークが広がる中で、筑波大学とタニタが20年4月に行った調査では、テレワーク実施前後で約3割も歩数が減少しています。また、RenoBodyが20年5月に実施した自粛期間中の運動不足に関する調査で、普段ウオーキングをしている人たちの約半数は、運動量が減ったと回答しています。

これらは成人のデータではありますが、アクトインディが20年4月に小学生の親子に実施した調査では、約6割の子供が「運動不足になっていること」をストレスに感じているということからも、子供たちの運動量も低下していることが懸念されます。

世界保健機関(WHO)は20年4月に「#HealthyAtHome-Physical activity」を発表し、コロナ禍で外出自粛が続く中でも、青少年に自宅で毎日60分以上の身体活動を推奨しています。コロナ禍においては、「密閉」「密集」「密接」の3密を避けることが重要とされ、仲間と共に行う運動が実施しにくくなりました。その結果、運動する機会が減少し、運動不足に陥っている子供が多く存在していたのではないでしょうか。

運動不足になりがちな自粛生活

実際、小学生の保護者に対する調査では、コロナ禍における子供たちの生活において、「学習の遅れ」よりも「体力低下」を心配しているという結果が報告されています。

これまでの学校教育では、集団生活が重視され、身体活動においても仲間との積極的な関わりが重視され、実施される傾向にありました。Withコロナの社会では、「新しい生活様式」が求められます。そのような社会における身体活動の在り方や体育のカリキュラムは、変更が迫られるものと考えられます。

そこで本連載では、体育におけるICTの利活用の研究に取り組んできた知見を踏まえて、コロナと共存しつつ、体づくりを進めていくアイデアを10回に分けて紹介させていただきます。

【プロフィール】

鈴木直樹(すずき・なおき) 埼玉県東松山市出身。埼玉大学教育学部(教育学専修:教育行財政学)を卒業後、埼玉県内の公立学校に9年間勤務。在職中に大学院派遣教員として、上越教育大学大学院で学び、2003年3月に修士課程を修了。その後、東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程)に進学し、07年3月に修了。修士課程、博士課程共に、体育の学習評価に関する研究に取り組んできた。現在も、体育における学習評価の研究を中心にしながら、教師教育の研究、社会構成主義の考え方に基づく授業づくり研究、ICTの利活用に関する研究に取り組んでいる。

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