【プログラミング教育の勘所(2)】読み・書き・プログラミングの時代

NPO法人CANVAS理事長/一般社団法人超教育協会理事長/慶應義塾大学教授 石戸 奈々子
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新しい技術の発明は社会を変化させてきました。18世紀末の蒸気機関の発明は第1次産業革命を起こし、世界に機械化、工業化の波を起こしました。19世紀後半には電力を用いた大量生産化をもたらす第2次産業革命が、そして、20世紀後半にはコンピュータ技術の発達により自動化を促す第3次産業革命が起こりました。

そして今、AI、IoTなどの技術がけん引する第4次産業革命を迎えようとしています。これは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第5の文明刷新「Society5.0」でもあるとされ、産業にとどまらず社会・文化・暮らしの全場面に変革をもたらし得るものです。

だからこそ、全ての人にとって重要な教育問題として議論されるようになりました。社会の構造が大きく変化する中で、私たちはその変化に立ち向かいながら情報技術を使いこなし、世界中の多様な価値観の人と協働し、新しい価値を創造する力が今まで以上に必要となります。

私たちはコンピュータに囲まれた生活をしています。コンピュータが他の領域と違うのは、四角い箱に収まったパソコンという存在にとどまらず、小さくバラバラになり、あらゆるモノ、分野、環境に溶け込み、定着し、それらを制御するものとなっていることです。

仕事にも勉強にも買い物にもコンピュータやネットが入ってきています。ご飯を炊くときも、洗濯をするときも、テレビを見るときも。車は大量のチップが埋め込まれたコンピュータと化し、掃除にはプログラムが制御するロボットが活躍しています。

そして、ドアの鍵、照明、冷暖房、冷蔵庫、洗濯機などが全てネットワークでつながり、自動制御可能なスマートホームとなります。車の自動運転も実現しそうです。生活する上で必要不可欠な行政サービスや医療行為にも、ICTが入り込んでいます。

つまり生活・文化・社会・経済のあらゆる場面で、私たちの生活をコンピュータが支えており、そしてそれらの仕組みは全てプログラミングによって生まれているのです。

その基礎メカニズムを習得することは、国語・算数と同様、どのような人にも必要な基礎能力なのです。コンピュータに関する原理的な理解があるかないかによって、社会のありとあらゆる場面における対処能力が、大きく変わってくるはずです。

読み・書き・プログラミングの時代。プログラミングはこれからを生きる人たちの基礎教養なのです。

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