【スクールソーシャルワーク(7)】スクリーニング会議の実際:メゾからマクロ実践へ

大阪府立大学教授 山野 則子
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前回紹介した、気になる子どもを発見して対応を決める「スクリーニング会議」の様子をのぞいてみよう。

5年生の学年会議。全児童につき一人ずつ順番に検討していく。担任が「この子はちょっと休みがち。でも家庭訪問をした時に母親が前よりも学校に気持ちを向けていると話してくれた」と報告する。すると、妹を知る専科担当が「そういえば妹の絵に、いつも家族が登場する」と続ける。特別支援担当からも相づちが入る。

その後、引き続き様子を見ていこうという話になり、話題が次の子どもに行きかけた。そこにSSWerから「子どもたちは家族を大切にしているのですね?」「母親が『学校に気持ちが向いている』と思うのはどんなところから?」と指摘が入る。

もし、SSWerがいなければ、話はそのまま流れただろう。しかし、SSWerがいることで、曖昧な話の中で着目すべき点が焦点化され、ポイントが明確になった。教師は授業を進める上で、学習以外の「ささいなこと」は、ある程度流さないと日々の仕事はこなせない。対してSSWerは、こういったことに「引っ掛かって」明確化する人だ。

最終的に、この子への対応の暫定的な方向性は、学校とつながっている母親の気持ちが切れないよう、SSWerの発言した言葉を担任が母親に返すというように、「さまざまな場面で家族の語りを活用して勇気づけていくこと」とまとまった。ここまでの経過時間は5分だ。

スクリーニングの流れ

スクリーニング会議では、ピックアップした子どもや家庭への支援方法について、A教職員複数の関与、B地域資源の活用、C専門機関の活用、の中から必ずどれかを選択する(重複も可)。そうすることで、教師が警察や児相などの専門機関だけでなく、身近な支援が地域に存在することを知ることにもつながる(図参照)。

現状、重篤な事例でないと児童相談所の対応は難しく、教師は対応の手だてがないために抱え込んでいる。教師の負担軽減のためにも、問題の重篤化を防止するためにも、方向性を暫定的に決定し、支援を進めることが重要だ。実際、スクリーニング会議を経験した教師たちは、30分という短い時間の中でもすべきことが明確になり、有効であると語っている。

ある教育委員会では、この取り組みが持続可能なものになるよう「スクリーニング要項」を策定し、学期に1回必ず行うこととしている(マクロ実践)。多くの学校現場では、全児童を検討するわけではなく、教師個人として気になる事例だけを支援機関などにつなぐ、あるいはSSWerを活用する、という状態である。

就学前までは、保健所の健診制度において、全ての子どもの家庭背景まで考慮し、多様な専門家で支援を判断していたのが、就学後になると、この専門的で手厚い作業を教師個人が行う形になる。こうした実態が、重大事案につながる一つの要因となる。

スクリーニングの導入などをはじめ、早急に複数の専門家の判断が入る仕組みをつくる必要があり、文科省も野田市の事件を受けて2020年3月、アフターコロナとして5月、全国に通知している。

「スクリーニング活用ガイド」の最下段を参照)

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