【スクールソーシャルワーク(8)】学校プラットフォーム マクロ実践

大阪府立大学教授 山野 則子
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良い実践を持続可能なものにするために制度化していく試みが、スクールソーシャルワーカー(SSWer)のマクロ実践である。

現在、子どもの貧困についての議論が活発になっている。例えば大阪府の調査では、就学援助の受給条件に該当するにもかかわらず、受給したことがない世帯が14.6%も存在する。この数値は必要な家庭に必要な支援が届いていないことを示唆する。

子どもの貧困対策として、子ども食堂や子どもの学習支援などが全国に広がっている。しかし、親は生活に余裕がなく、子どもどころではない。規則により子どもは子どもだけで校区外に出ては行けず、仕事で忙しい親を気遣う子どもは「連れていってほしい」と言うこともできない。一方、支援する側は、個人情報保護の観点から対象家庭の住所が分からないため、誘いに行くことができない。

このミスマッチを学校がつなげられないだろうか。残念なことに、教師は子ども食堂などの地域資源の存在や実態をほとんど知らず、子どもに紹介することはほぼない。そのため、せっかくの支援が、必要な子どもに届かない。教師が行うべきという意味ではなく、校内に「つなぐ」機能が存在し、さまざまな支援のプラットフォームとなれば、子どもが気軽に利用できないだろうか。

学校がつなぐ子ども食堂

学校に隣接する場所に、自治会主催の子ども食堂を作ったSSWerの活動を見てみよう。ある学校で、養護教諭と特別支援担当教員が子どもの虫歯や遅刻の多さを懸念し、SSWerに相談した。SSWerは、地域のコミュニティ・ソーシャルワーカーに相談し、高齢者の居場所カフェ活動を行っていた自治会とつながった。教師は異動するが、地域は子どもの支えになり続けてくれる可能性がある。それまでは真に地域とつながっていなかったと教師は語る。

最大の利点は、学校に隣接する場所にあることで、教師が気軽に見に行きやすく、子どもや保護者に利用を促しやすい点である。子ども食堂のある日の朝、名簿に名前があるのに来ていない子どもがいれば、呼びに行く。参加している子どもの割合は、実際の就学援助率とほぼ同じである。教師に「負担ではないか」と尋ねると、「いずれにしても訪問するので、材料がある方がいい」と言う。

この学校は地域住民からの信頼が厚く、近隣商店が歯ブラシを提供したり、簡易水道の設置に協力したりした。回を重ねるごとに支援者が増え、歯科医が歯のチェックに毎回来るなど地域ぐるみの子ども食堂となっていった。そして、親たちも主体的にランドセル置き場を作るなど動き始めた。結果、子どもたちは勉強に集中し、虫歯や遅刻が激減したという。

まさに学校プラットフォームであり、SSWerの個別事例に終わらないマクロ実践である。

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