【プログラミング教育の勘所(4)】「つくる力」が付き、各教科・科目の理解が深まる

NPO法人CANVAS理事長/一般社団法人超教育協会理事長/慶應義塾大学教授 石戸 奈々子
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プログラミング教育を各教科に導入することの醍醐味(だいごみ)は、手を動かし、試行錯誤して、つくりながら学ぶ学習が入ることだと考えます。

手足を動かして考えることにより、思考が身体化する。抽象的な思考から一歩飛び出し、自分でも気が付かなかったことに気付かされ、アイデアを生み出しやすくなる。そのような経験は誰もが持っているのではないかと思います。

知識というのは覚えるだけでは定着せず、それを自分の中でそしゃくして利活用できるようになって、初めて「知識」として蓄積されていきます。得られた情報を俯瞰(ふかん)し、再構築し、そして自分の文脈の中で表現をする。そうして表現されたものこそが役に立つ「知識」だと思うのです。実際にカタチにするという作業は、得られた情報、思いついたアイデアを整理する上で非常に有効な方法です。

プログラミングという「ものづくり」を通じて、自らの知識を主体的に構築していく。「つくり、実行し、修正する」という試行錯誤を通じて学ぶのです。

また、プログラミングを通じてものづくりをする過程では、算数の計算や図形の性質の理解、国語の文章読解や作文、図工や音楽の創造性、リアルなアニメーションを実現するための理科の知識など、さまざまな知識や技能が必要となります。それら教科・科目の理解を深め、さらに探究したいという心を育むとともに、断片的に学んできた知識を統合し、活用する、応用力、総合力を身に付けることができるようになるのです。

つまり、しっかりと各教科を学ぶことで、プログラミングでつくる力が伸び、プログラミングでつくりながら学ぶことで、各教科・科目の理解を深めることができるのです。

これこそアクティブ・ラーニングではないでしょうか。プログラミングの授業を行った先生方からは「試行錯誤しながら主体的に学習する態度が育まれる」という声をよく聞きます。生涯にわたって学習することが求められる時代。主体的に学ぶ態度を育み、学び続ける力を手にすることが、最も重要と言えます。

何よりも「つくる」というのは大事なことです。頭で考えるだけではなく必ず形にする。アイデアとそれを実現することの間には大きな隔たりがあります。社会に出て求められることは、アイデアを出すことではなく、それを実行することなのです。

粘土があって、クレヨンがあって、同じように、プログラミングがある。新しい創造・表現のツールがプログラミングなのです。

しかし、大事なことは、それを使って何を生み出し、何を表現するかです。

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