【Withコロナ時代の体づくり(5)】オンラインを活用した体育指導の実際②

東京学芸大学准教授 鈴木 直樹
この連載の一覧

コロナ禍において学校が休校措置となる中で、体育ICT研究会では4月27日から5月2日にかけて、家庭からオンラインで参加できる「体つくり運動と表現運動」と「VRを活用した体つくり運動」の遠隔体育を1日おきに3回、計6回実施しました。また、実施後は、この取り組みの成果を教員に普及していくことを目的として、教員研修会を実施しました。

家庭とつなぐ遠隔体育の実践は、昨年度の国内外の学校間での実践を手掛かりにして構想し、研究の成果も踏まえ、同期型・双方向型の体育にこだわりました。理由は、体育学習として学びを価値付けていくには、適切な指導に基づく「評価行為」が重要であり、そのためには授業内での教師と子供、子供間での豊かな「コミュニケーション」が必要であると考えたからです。

放課後体育教室の様子(新潟県からの参加)

したがって、主となる学習活動は「問題解決学習」として設定され、子供たちはどの内容においても、まず一緒に経験してみることから問題を導き、その解決はオンラインミーティングシステムの小グループに分ける機能を使用して、小集団で試行錯誤させるようにしました。

また、グループでの学習成果を共有する際は、活動しながら「スポットライト」の機能を使って注目した子供を表示し、同時に教師の声掛けを行うことで気付きを誘発させたり、発表者だけをビデオオンにして注目をさせたりするなど、テクノロジーの特性を利活用するようにしました。

通常、教師が全体に発問し、やり取りをする場面では「教師」対「全体の子供」という構図となり、子供は多人数の中の一人として参加することになります。

一方でこのシステムでは、子供にとって、常に自分が多数の他者に対峙する関係になり、「見る―見られる」関係が強調されます。自分の動きも仲間の動きも表示され、自らの学びを可視化しながら評価し、問題解決し、次の活動の工夫を考えます。そのため、普段以上の評価情報を収集し、それを活用し、学習行為に生かしていると言えます。

オンラインの授業をするようになって、子供たちは「思考しながら学ぶようになって疲れる」などと口にします。そのような状況は、知識基盤社会時代において高次の思考を行いながら身体活動を行い、他教科にも生かすことができる汎用(はんよう)的スキルを学べているとも言えます。

特に驚かされたのは、表現運動でオンライン上での映像表示の特性を理解し、子供たちがそれをも表現するツールとして使って創作表現をしていたことです。空間を超えた表現者の協働は、仮想空間における同調や崩しを生み出します。新たな創作表現の可能性を感じました。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集