【スクールソーシャルワーク(9)】養成と政策動向

大阪府立大学教授 山野 則子
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本連載において、スクールソーシャルワーカー(SSWer)とは、どんな価値をもって、どんな活動をする専門家なのかを説明してきた。しかし、どこにそんな人がいるのだ、と思う人も多いであろう。

現在、社会福祉士養成校は300校ほど存在する。これらの学校に通えば、国家資格である社会福祉士の受験資格が得られる。この中には通信制も存在し、社会人になってからでも受験資格を取得できるなど、間口は狭くはない。

これらの養成校の中には現在、スクールソーシャルワーク(SSW)教育課程を開講している学校が61校ほど存在し、これらの学校の学生は国家資格を取得し、かつSSW教育課程の修了証を得られる。

入学時はSSWerを希望する学生は少なくないが、卒業時に職業として選択する学生はほとんどいない。その理由は正規職員としてのSSWerの募集がなく、児童相談所のような体制がないからだ。児童虐待、いじめ、非行による子どもの死亡事件がこれだけ話題になり、現場は困っているにもかかわらずである。

全国の小中高校と特別支援学校を合わせると約3万6千校に上るが、SSWerの実人数は2018年現在たった2377人にすぎない(国のSSW事業予算活用者)。これでは、教師がSSWerを身近に知ることも活用することもないのは当然である。現在、多くの教師の認識は「困ったときに呼ぶ人」であって、外部の人との意識が拭えない。

筆者作成:「学校・家庭・地域をつなぐ仕組みづくりとその制度化」(文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について」28ページに掲載)

しかし、2017年4月に「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」が施行され、SSWerは学校職員であると規定された。ここに至るまでに、13年に成立したいじめ防止対策推進法で「福祉等に関する専門的な知識を有する者」として記され、14年に出された「子供の貧困対策に関する大綱」では冒頭部分にSSWerが記載され、15年の中教審答申では「チーム学校」の一員として位置付けられた。

また、17年1月に出された「チーム学校」の各メンバーの機能が詳細に示された「児童生徒の教育相談の充実について(報告)」(※1)にも、SSWerの役割が詳細に記述されている。19年の野田市の児童虐待事件後、児童虐待の対応マニュアルや「スクリーニング活用ガイド」(※2)にも登場し、これらの文書の中で、SSWerは重要な役割を持つと一貫して認識されている。

こうした期待とSSWerの実人数とのギャップ、社会福祉士養成数と実人数のギャップを見ると、現在の学校教育法施行規則における学校職員だけでは不十分で、学校教育法第37条の「校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない」という条文の中に、SSWerを入れることが早急に必要である。

※1 スクリーニングが記載されている。
※2 筆者に作成を依頼された。
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