【Withコロナ時代の体づくり(6)】オンラインを活用した体育指導の課題

東京学芸大学准教授 鈴木 直樹
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放課後体育教室の試みでは、オンラインでの体育指導への取り組みを通して、新たな可能性を見いだすことができました。しかしながら、オンラインを活用した体育指導には幾つかの課題が残されています。

まず、インフラ環境の整備です。映像を使って動きを合わせたりすることから、映像や音声の遅延が生じ、「だるまさんが転んだ」のように短所を長所に変化させることも可能である一方、多くの活動で支障が生じてしまいます。

インフラ環境に関しては、解消されるのも時間の問題かもしれませんが、双方向のやり取りで生じるコミュニケーション上の遅延は、ほんのわずかでも気になるものです。

次に、デバイスの問題です。身体活動全体を映そうとすると、デバイスから離れることになります。Bluetoothのイヤホンマイクなどを着ければコミュニケーションを取りながらの活動が可能でしょうが、そうでなければデバイスに近づかないと難しく、活動をするためには工夫が必要になります。

さらに、場所の広さの問題もあります。家庭で行う場合、運動するのに十分なスペースを確保しにくい場合があります。それとは逆に、学校の体育館では広すぎて活動を共有している感覚を得にくくなることもあります。広がると活動場所全体をカメラで映すことが難しく、仮に全体を映せる場所にカメラを置いたとすると対象からかなりの距離ができ、対象物が判別できなくなってしまいます。

このように、活動の場所やデバイスの設置場所は、オンラインを活用して体育を実践する場合、重要な要素となります。加えて、用具の問題も重要です。体育では個人が所有している用具が少なく、全校で共有して活用している用具が多く、そのためにできる活動が限られてしまうのです。

VRコンテンツの画面

そのような課題を解決すべく、遠隔体育の取り組みでは、VRコンテンツを活用した実践も行いました。VRゴーグルを着けてバーチャルにバランスを取る運動遊びで、あたかも平均台の上を歩いているかのように、映像に合わせてゆっくりと動いていくというものです。小さなスペースでも実施することが可能で、子供はさまざまな動き方で活動を工夫していました。

このように、実際の身体活動と映像を視聴する活動をハイブリッドにして実施しましたが、技能面でも認知面でも大きな向上が見られ、今後の体育の可能性を示す実践になったと思います。

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