【Withコロナ時代の体づくり(7)】「新たな生活様式」における体育・身体活動

東京学芸大学准教授 鈴木 直樹
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萩生田光一文科相は、2020年5月22日の記者会見で「学校の設置者は一切気を緩めることなく、新しい生活様式を学校に導入し、リスクを低減する必要がある」と述べています。「新たな生活様式」では、感染防止の3つの基本として、「身体的距離の確保」「マスクの着用」「手洗い」が具体的な対策として示されています。

身体活動の実施については、「公園はすいた時間や場所を選ぶ」「筋トレやヨガは自宅で動画を活用」「ジョギングは少人数で」など、人との接触を最小限に抑えるための活動方法が示されています。体育の授業でも、熱中症対策の観点から、マスク着用は必要ないとされていますが、身体的距離に配慮することが推奨されています。

20年6月16日に発表された「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~」(Ver.2)では、特に感染リスクが高い活動として、「体育、保健体育における『児童生徒が密集する運動』や『近距離で組み合ったり接触したりする運動』」が挙げられています。

最も感染リスクが低いとされる「レベル1」の地域であっても、これらの活動に対しては「換気、身体的距離の確保や手洗いなどの感染症対策を十分に行った上で実施すること」を求めています。体育の授業ではこの条件をクリアするのが非常に厳しく、学習が不十分になっている要因とも言えます。

一方、コロナ禍における遠隔授業の取り組みを通して、ICTを活用した協働学習が効果的に実施できることも実感できるようになりました。今後は、対面かオンラインかという二項対立的な選択ではなく、双方の良いところを生かし、「新たな生活様式」に応じたWithコロナ時代の学習指導方法を開発していくことが重要だと思います。

オンラインウオーキングの様子

歩きコンサルタントをしている千葉県成田市在住の坂田太さんは、オンラインミーティングシステムを使ってウオーキングをファシリテートする試みをスタートしました。

意外にもオンラインでつながりながらのウオーキングは会話がしやすいそうで、参加者の一人は「普段は聞くことのない踏切の音、風の音、鶏の鳴き声など、一人で歩くよりたくさんの音や匂いまで感じられて、つながっていることの楽しさが感じられます」と感想を話していました。楽しく学びながら仲間も増え、自分の歩き方も改善できるということで参加者に好評のようです。

このようにオンラインを使って遠隔地からファシリテートすることで、参加者の運動への取り組みを動機付け、参加者同士が関わりながら学び合うことも可能になります。

20年度中にGIGAスクール構想が前倒しされることが決定しましたが、このような学びを応用した学習指導方法が、学校内でも実践可能になるのではないかと思います。新たな時代の体育を創造する大いなる可能性をICTは秘めていると思います。

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