【プログラミング教育の勘所(7)】「STEAM教育」とプログラミング

NPO法人CANVAS理事長/一般社団法人超教育協会理事長/慶應義塾大学教授 石戸 奈々子
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「STEAM(STEM)教育」という言葉を目にする機会が増えました。文部科学省も「Society5.0に向けた人材育成」としてSTEAM教育の重要性を指摘しています。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(アート)、Mathematics(数学)の頭文字をとった広い概念の言葉です。

STEAM教育を理数系教育と捉えるならば、産業革命以降、労働人材確保と全ての国民の基礎リテラシーとして重視されていた教育であり、今に始まったことではありません。では、なぜ今改めてSTEAM教育に大きな注目が集まっているのでしょうか。

理由は情報化社会を生き抜く21世紀型スキルが強く求められることに加え、身の回り全てがAIやIoTで運用・制御される世の中になってきたことで、人々が基礎教養としてSTEAMリテラシーを備えるべき必要性が格段に高まったからでしょう。

Society5.0時代のSTEAM教育は、従来の理数教育と何が違うのか。一つはSTEAMにプログラミングなどの情報技術が含まれたことです。さらには、STEAMの5つの学問分野の理解を深めるにとどまらず、それらの知識・技能を統合して活用する力を育み、課題解決力・批判的思考力・創造力といった21世紀型スキルを育むことを重視している点も大きな違いです。

よって、単に知識を獲得するだけではなく、「教科横断的・統合的な学び」であり、「課題解決型・プロジェクト型の学び」であり、「社会・世界とつながった実践的な学び」という特徴が生まれてきます。

プログラミング教育では、各教科の単元の中にプログラミングが盛り込まれることで、各教科・科目の理解を深めるとともに、教科横断的な学びにより断片的な知識を統合し、活用する力を育むことが求められています。体験を通じてコンピュータや情報化社会の特性を理解し、問題の解決に必要な論理的・創造的な思考方法を育むことを目的としています。また、社会と連携・協働することによって、プログラミング教育を通じた「社会に開かれた教育課程」の実現も期待されています。

前述した「STEAM分野の知識・技能」や「それらを活用する力」、「論理的思考力・創造力といった21世紀型スキル」などSTEAM教育が育む力、そのための学びの手段としての「教科横断的・統合的」や「プロジェクト型」、「社会の文脈の中での実践的」などが、プログラミング教育との共通項として見いだせるのではないでしょうか。

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