【ポストコロナと教育格差(8)】オンライン学習に「のれない」子供たち

広島経済大学准教授 前馬 優策
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前回は、オンラインの学習環境の格差について述べた。今回は、オンライン学習を進めることによって生じる格差について考える。オンライン学習と言っても、その実は双方向型授業から課題をこなすものまでさまざまだが、ここではオンライン学習の全般を視野に入れて述べる。

オンライン学習の効果に関する研究の多くは大学生以上のものであり、高校生以下を対象としたものは少ない。その中で得られる結果もさまざまであり、コンセンサスが取られているとは言い難い。質の低い授業よりは効果的だが、質の高い授業よりは効果的でないと捉えるくらいの方がよさそうである。

米国の大学では、オンラインコースを受講する学生が増加している。しかし、その便利さやコストの安さとは裏腹に、ドロップアウト率が高いことも問題になっている。

その要因をまとめたレビューによると、オンライン学習への不慣れ、モチベーションの低さ、家庭の都合、オンライン上の居場所の不在などが原因として挙げられる。これらは、高校生以下の子供たちのオンライン学習の格差を考える上でも大変参考になる。

まず、オンライン学習では、不慣れな機器や学習形態に対応することに認知的負荷がかかり、学習どころではなくなってしまう。そして、自律的な学習態度がより一層求められるため、学習へのモチベーションが低ければ続けることが難しくなる。

さらに、家庭の「都合」も大きな問題である。日本でも家庭内で多くの役割を担っている子供がいる(家族のケア役割を担うという意味で「ヤングケアラー」と呼ばれる子供もいる)が、家庭で学習をしようとしても、それを後回しにせざるを得ない状況があることもある。

また、オンライン上に快適な居場所がなければ、学習から離脱しやすい。一斉にオンライン授業を行うときには、誰もが参加していることを実感できるようにしなければならない。

これらが教育格差として問題となるのは、低学力の子供や教育的に不利な環境にある子供にしわ寄せが集中するからである。とりわけ、「とにかくまずはやってみよう」方式だと、家庭の力の差が顕著に反映される。

教育格差を拡大させないオンライン学習は、いかにして可能だろうか。子供たちがオンライン機器をストレスなく使いこなせるようにすること、個々の進捗状況の把握やサポートを含めた家庭学習への支援体制をつくること、学習者目線のオンライン学習を提供できるように教師の力量形成をサポートすることが考えられる。

正直、休校の備えのためだけに準備をしておくのは癪に障るが、「オンラインは一日にしてならず」と言い聞かせ、日常の教育活動に組み込みながら粛々と準備を進めるしかなさそうだ。

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