【コロナ時代の若手教師自己研鑽術(10)】自分を知ることが最大の自己研鑽

川崎市公立小学校教諭 土居 正博
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本連載も最終回となりました。最後のテーマは、ここ最近、私が教師の自己研鑽において最も重要と考えている「自己分析」についてです。

自己分析とは、「自分の特徴や長所・短所、価値観などをつかむこと」と捉えてください。なぜこれが自己研鑽において最も重要かというと、自己分析ができていなければアドバイスや教育書などから得た情報なども全て意味がなくなるばかりか、逆効果を招くことさえあるからです。反対に自己分析がしっかりできていれば、アドバイスや教育書の情報もフル活用できます。

どういうことか、具体的に述べましょう。例えば、ある若手教師が先輩教師から「子供は叱らない方がいい」とアドバイスを受けたとします。そのアドバイスをした先輩教師は、元々授業もうまく、子供から尊敬されるような特徴を持つ教師だったのかもしれません。そうであれば、わざわざ叱るようなことをしなくても学級を安定させていくことはできるでしょう。

しかし、アドバイスを受けた若手教師がもし、授業がうまくなく、子供から尊敬されるというより子供と距離が近いという特徴を持つ教師だった場合、どうなるでしょうか。そのような場合、子供は慣れてくるとわざとなまけたり、授業の邪魔をしたりといった「お試し行為」をしてくることがあります。そのような状況下なのに、「先輩から叱らない方がいいって言われたしなぁ」と考え、叱らないでやり過ごしてしまうかもしれません。そうすると事態は悪化し、規律が乱れ、最悪の場合、学級崩壊やいじめにつながってしまうこともあるでしょう。

もちろん、この若手教師や先輩教師に悪意は一切ありません。それぞれが真面目に、自分のクラスの子供のこと、そして後輩のことを思って、行動したりアドバイスしたりしているだけです。問題の根本は、若手教師が「自己分析」を十分に行えていないことです。教師自身が、自分が子供にどのように見られているのか、自分の長所や短所は何なのかをはっきりと自覚することが重要なのです。

そうすれば「先輩はああ言っていたけれど、子供と距離の近い自分の場合はここで叱らなくてはクラス全体の規律に関わってしまう」などと自分で判断し、適切な指導をすることができるのです。

この視点があると、教育書の読み方も大きく変わってきます。得られた情報を自分の特徴に合わせて活用していけるようになるからです。自分をよく知ることこそ、最大の自己研鑽なのです。

(おわり)

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