【Withコロナ時代の体づくり(10)】 ますます重要になる体づくり

東京学芸大学准教授 鈴木 直樹
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いよいよ本連載も最終回となりました。コロナの感染拡大は、私たちの生活を激変させました。5月に緊急事態宣言が解除された後も、7月以降に再び感染者数が急増するなど、収束のめどは立っていません。

その意味でも、私たちはWithコロナを前提として、体づくりを進めていかなければなりません。その際のキーワードの一つは、「ソーシャルディスタンス」ではないかと思いますが、それは身体活動の醍醐味である直接的交流を難しくすることにもつながります。それを補うために、私たちはICTを適切に活用していく必要があるのです。そして、身体活動環境の変革にも努めていかなければなりません。

ソーシャルディスタンスをとった身体活動

まず、体育施設のデザインもICTとの連携を視野に入れつつ、Withコロナ時代の身体活動実践を支えるものにしていかなければならないと思います。公共の体育施設やスポーツジム、学校の体育館や運動場など、ニーズに応じた運用や改修が求められてくるでしょう。

次なる段階として、スポーツ指導のプログラムや学校の体育カリキュラムの改革に取り組まなければなりません。Withコロナのスポーツライフは、これまでのイメージとは少し異なってくると思われます。そんな状況下で、生涯にわたってスポーツ実践に接続できるスポーツプログラムの開発が急務であると言えます。

コロナ禍を迎える以前から、身体活動量の低下が懸念されており、肉体的にも精神的にも社会的に満たされた状態にあるWell-Beingを保障するためには、積極的な身体活動が重要となってきます。そして、その実現のためには、他者とのコミュニケーションが欠かせません。

本連載では、「新たな生活様式」におけるICTを活用した体づくりについて論じてきました。言い換えればそれは、新たなコミュニケーションスタイルを体づくりに導入することでもあります。

リアル・コミュニケーションはもちろん重要ですが、バーチャル・コミュニケーションは空間を超えて交流できることから、リアルなコミュニケーションでは実現できなかったレベルでの情報共有が可能となります。その意味では、リアルとバーチャルが双方を補完し合うことで、豊かな関わりが創造される可能性があります。

その意味でも、リアルとバーチャルをハイブリッドにした体づくりを学校内外で提唱していく必要があると考えます。そのような新たな体づくりの環境デザインこそ、今求められているのです。

ピンチをチャンスに変え、より良い未来をつくるための「創造力」を人類は備えています。今こそその力を存分に発揮し、状況を好転させ、より良い社会を支える教育の実現を果たしていきたいと思います。

(おわり)

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