【プログラミング教育の勘所(10)】全国小中学生プログラミング大会(JJPC)

NPO法人CANVAS理事長/一般社団法人超教育協会理事長/慶應義塾大学教授 石戸 奈々子
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私が理事長を務めるNPO法人CANVASでは、毎年「全国小中学生プログラミング大会」(JJPC)を開催しています。大会といっても、主としてプログラミングのスキルを競うものではありません。実装力としての技術力も評価項目の一つではありますが、特に重視しているのは発想力と表現力です。

昨年、見事グランプリを獲得したのは「現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機」(小2)。世界一複雑な渋谷のスクランブル交差点をコンピュータで再現し、交差点の車や人の流れをシミュレーションする作品です。

「安全で渋滞のない交差点や信号をつくること」を願い、夏休みに何度も渋谷に足を運び、調査を重ねて制作しました。これまでの自由研究なら調査と分析で終わりだったところをシミュレーターまでつくるのが今どきキッズです。

準グランプリは「会話おたすけ音声ロボット」(小3)。けがや病気で会話や執筆が困難な人のための支援ツールです。手にはめて使うレゴで、パソコン画面の平仮名表をクリックすると文字が読み上げられます。

優秀賞の「Famik」(小6)は、熱や病状の推移を記録する問診票記入支援アプリ。体温や症状を入力すると、病状の変化が表になります。

同じく優秀賞の「まほうのぼうしと黒猫アキラとピカつむり」(小2)は、気温、湿度、天気を検知し、知らせてくれる帽子です。小さい子でも分かるような表示を心掛け、ソーラーパネルの電気で動作する人にも環境にも優しい作品です。

入選作品の一つ、機械学習を使ってごみの分別ができる「未来のごみ箱~CANBO~」(小6)にも驚かされました。「快適で住みやすく地球環境にも優しいスマートシティを実現したい」と開発者の子は言います。

いかがでしたでしょうか?プログラミングという武器を手に入れ、私たちが子どもの頃には考えられないくらい広い視野を持ち、小中高校生段階から活躍している子どもたちがたくさん生まれています。

自らの創造力を発揮して大人も驚くような作品をつくったり、発明品を開発して特許を取ったり、もしくは友達と一緒に学生のうちから起業したり。課題を適切に見極める洞察力、独創性溢れる発想力、豊かなデザイン力と高度な技術力、そして共感を得るプレゼン力にいつも驚かされます。

しかし、それ以上に心を打たれるのは、彼ら彼女らの「情熱」です。どうすれば困っている人を助けられるのか、どうすればより便利な生活になるのか、どうすればより魅力的な社会をつくれるのか。そんな視点を持つ彼ら彼女らが、どのような未来社会を築いていくのか楽しみです。

(おわり)

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