【学校保健のミッション(1)】新型コロナ対応の始まりと子供の健康・発達

埼玉大学教育学部教授 戸部 秀之
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今でも、今年の2月27日が思い出されます。当時、私は大学で教鞭をとりながら大学附属の特別支援学校の校長を兼務しており、管理職の定例会議をしていました。埼玉県内でも新型コロナウイルスの感染例が数例確認されていたことから、感染が拡大することも想定して、次年度の学校行事について検討していたところでした。

急にノックがあり、入ってきた教員から次のようなメモが渡されました。

「安倍首相から、3月2日から春休みまでの臨時休業の要請あり」

おそらく全国の学校がそうであったように、今後どのようなことが起こるか想像もつかない事態の始まりでした。要請された臨時休業の開始日までに、児童生徒の登校日は翌日、28日のたった1日しかありません。28日には文部科学大臣からも同様の要請が出され、その後は皆さんもよくご存じの通り、未曽有の事態が続いて今に至っています。

当時を思い返せば「次週の卒業式をどうするのか」「急な休みに保護者は対応できるのか」「設置者である大学の方針は?」と幾つもの問題が浮かび、年度末の諸行事の変更や保護者へのお知らせの準備など、目の前のことで精いっぱいでした。

私は、学校保健を専門とする研究者として、これから起こるであろう子供たちを取り巻く環境の変化や、心身の健康・発達の課題を整理し、全国の教育関係者と情報共有して取り組まなければならないと思い、すぐにWebアンケート調査を開始しました。

心身の健康の専門職であり、学校の感染症予防の最前線に立つ全国の養護教諭に呼び掛けたところ、3月中旬の1週間で約1400人もの養護教諭から回答が寄せられました。アンケートの結果は、ホームページから見ることができます。

混乱、懸念、心配、工夫…。アンケートの回答から、養護教諭の視点による多くの課題が浮き彫りになりました。さらに、学校再開を含めたその後の約半年の間に実際に子供たちに何が起こっているのか、再度、養護教諭に調査を行っているところです。

本連載では、これらの調査結果も踏まえ、子供の健康や発達を視座に「コロナ禍における子供たちへの影響」「Withコロナの学校の課題」「子供の積極的な取り組みへのサポート」などを取り上げ、ポストコロナも見通しながら、今後の学校での対策や在り方について考えたいと思います。

【プロフィール】

戸部秀之(とべ・ひでゆき) 埼玉大学教育学部教授。専門は学校保健学、健康教育学、発育発達学。著書に『行動科学を生かした保健の授業づくり』(少年写真新聞社、共著)『ほけんイラストブック 小学校編』(少年写真新聞社、監修)など。

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