【Withコロナから見たGIGAスクール構想(4)】「1人1ID」が生み出す効果

埼玉県川越市立新宿小学校教諭 鈴谷 大輔
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児童生徒一人一人に個別のIDを発行する「1人1ID」。現在多くの学校では共有の端末を使用しており、それを使用する際に使うIDやパスワードも共有されていることが少なくありません。子供の成果物は校内にあるサーバー上に保存することが多く、子供たちは家で課題の続きなどをすることができません。

一方で、「1人1ID」を付与すれば、児童生徒の学びを蓄積し、授業者やAIによるフィードバックが行われ、個別最適化された学びを提供することが可能となります。また、クラウド上にデータを保存することで、子供たちの学びがどこにいても保障されます。その意味でも、「1人1台」の端末と「1人1ID」はセットで考えるべきものと言えます。

新型コロナウイルスによる休校期間中、私の勤務する学校ではMicrosoft Teamsを活用して1人1IDを発行し、学習を行いました。誰がどのように学習しているのかをこちらで把握できたため、休校明けに個別にアプローチできました。子供たちの学びを可視化する意味でも、「1人1ID」は有効です。

IDが付与されるということは、子供たちがそのIDに責任を持つということにもなります。SNS上では、若者が奇抜なことをして炎上させるといったことが繰り返し行われてきました。問題の根底には、子供たちが自分のIDを管理した経験がないことや、オンラインでの交流経験が浅いことなどがあります。

学校が管理する中であれば、子供たちが失敗をしても教員によるフォローや指導が可能です。そうやってリテラシーを身に付けていくことで、今後の社会を生き抜くための情報活用能力が醸成されていくのではないでしょうか。

一人一人の学びを蓄積することで、今後はつまずきポイントがどこであるのか、どのように指導すればよいのかといった情報も、AIを活用して導き出せるでしょう。

ドリル教材などは一人一人が違った課題に取り組み、個に応じた指導がますます深まることが予想されます。さらには、場所にとらわれずに学習が行えるため、不登校の児童生徒に対しても学びが保障され、是非はあるにせよ、学校で取り組んだ課題の続きを家でやることも可能になります。

このように、「1人1ID」が持つ可能性は非常に大きいものがあります。しかし、管理が煩雑だったり、問題が起きたときに責任を負いたくないといった理由で、学校が使用に制限をかけたりすることも予想されます。

次回は「使わせない」から「使い方を教える」にシフトするために必要な心構えについて、述べていきたいと思います。

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