【学校保健のミッション(5)】学校における学びの変化と課題

埼玉大学教育学部教授 戸部 秀之
この連載の一覧

新しい学習指導要領が、2020年度から小学校、21年度から中学校で全面実施となります。今年度から全面実施となった小学校だけでなく、すでに全国の中学校や高校でも新しい教育課程に向けた取り組みや準備が始まっています。その目玉の一つが、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの授業改善」です。

子供たちが生き生きと学習している「良い授業」の光景をイメージしてみましょう。「子供たちが元気に話し合う姿」「額を集めてグループワークや観察に取り組む姿」「教具を共有しながら実験や実習にのめり込む姿」などのほか、体育や音楽では「大きな声を出し、息を弾ませ、互いに触れ合いながら競い合い、認め合う姿」などが、活発な学びの姿として浮かびます。

「主体的・対話的で深い学び」を含め、子供が主体的に参加する「良い学び」にはこのような姿が重なります。一方で、これらはいずれも飛沫(ひまつ)・接触感染のリスクが高い活動とされ、感染予防の視点からは控えざるを得ない学習の形です。

給食の時間は、食の大切さを認識するだけでなく、人間関係形成能力も育みます。机を寄せ合って、楽しく会話をしながら食べることは、大変重要な学びなのです。しかし、感染防止のために、一方向を向いて黙って食べることが「今」の給食になっています。

遊びについても、友達と間隔をとり、接触を避け、会話を控えるなど、多くの制約があります。

「近づくな、しゃべるなというのは、子供の育ちに影響するのではないか」。先生たちから聞かれる心配の声です。

遊びは、子供にとっては有り余るエネルギーの発散の場であると同時に、授業では学べない多くの事柄を学ぶ重要な場です。近づき、笑顔を見せ、会話を弾ませながら、友達への親密な関係性を表現します。

同時に友達からもそれを受け取り、互いに気持ちが満たされます。「密」回避とマスク着用が求められる中では、そのような表現や感情の交流が乏しく、徐々に子供たちにストレスがたまっていく可能性があります。

Withコロナの学校における学びの変化として、対話やグループ活動のない授業、触れ合いのない体育、大きな声を出さない合唱、離れて遊ぶ休み時間、マスクで表情が見えない友達などが挙げられます。

感染予防対策と質の高い学びの調和をどのように図っていくのか、今後の大きな課題と言えるでしょう。

この連載の一覧