【教室には愛がいっぱい(7)】優しさを「もらった子」が「あげる子」になる

いもいも講師 薄田 京子
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これまでお話ししてきたように、いもいも教室は勉強ができるようになるわけでも、成績が上がるわけでもありません。それでも、否、だからこそ、子供たちはいもいもがある日を楽しみにしています。

ある子は、「いもいものことを考えるだけでワクワクする。それだけで1週間頑張れる」と言ってくれました。うれしいですね。そんな彼らのために私は何をしてあげられているのだろうと、最近ふとした瞬間に考え込んでいます。そこで今回は、いもいも教室の意味について考えていきたいと思います。

私が担当するいもいもの授業内容は、いつもフィーリングで判断しています。子供たちと一緒に話し合い、授業を作り上げているので、「じゃあ今日はこれをやろう!」というふうに決まります。

先日の「てしごと教室」では、子供に「みんなでこれ作ってみない?」と、ものづくりのレシピを見せたのですが、誰からも反応がありません。あれ?おかしいな、面白そうなのに…と思い、「じゃあ、自分の好きなもの作りたい人~?」と声を掛けると、一斉に全員手を上げました。

このように自由に考える子供たちのパワーは、とてつもありません。どんどんアイデアが浮かんできて「これをやりたい」「これがいい!」と、いつも授業は面白い方向に進んでいきます。そして、やりたくないことはやりたくないと、私も子供たちもはっきりと言います。でも、不思議とみんなお互いを思いやるんです。ここは、この子の意思を尊重してあげようと、優しさを見せてくれます。

この時、優しさを「あげた子」と「もらった子」がいますが、「もらった子」はいつか「あげる子」になります。素晴らしい経験です。私たちスタッフはそうした場面を見ると、心がグッと締め付けられます。子供同士で受け入れ合うことは、大人に受け入れられることとは、異なる意味があります。それが自信につながり、何かに取り組む勇気となるのです。

いもいもは、他の人から見たら遊んでいるだけに見えると思います。でも、一人一人に寄り添って子供たちを見ると、その心や行動、表情が変化していくのが分かります。私たちはこの変化を最大限させてあげられるように、さまざまな体験を通じて人間関係を構成したり、コミュニケーションを促したりしています。

同じワークをしていても、感じ方や表現の方法はどの子も一人として同じではありません。それを見ることが、私の一番の楽しみです。

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