【学校保健のミッション(7)】コロナ禍で子供は何を考えたか

埼玉大学教育学部教授 戸部 秀之
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コロナ対策の一斉休校中や学校再開に合わせて、私がある中学校の養護教諭と協力して行ったアンケートには、生徒のさまざまな不安や学校へ要望の声がありました。コロナ禍で混乱する社会に向けた、生徒たちの願いと言っても過言ではありません。コロナ対策の中で子供は何を考えたのか、子供の視点で見ていきましょう。

まず、長期にわたった一斉休校を生徒はどのように捉えたのでしょうか。以下、各項目に「当てはまる」と回答した生徒の割合を添えて紹介します。

子供は「学校が休みになってうれしい」(26%)、「授業を受けなくていいのでうれしい」(15%)と感じているのではないか――大人はそう思いがちです。

しかし、生徒の気持ちは少し違っていました。「友達と会えなくてさみしい」(73%)、「授業がなくて勉強のことが不安だ」(64%)、「学校がなくてつまらない」(58%)、「行事がなくなって悲しい」(53%)など、学校の意義を感じていたのです。

おそらく、思わぬ「自由時間を楽しんだ」(41%)後、多くの生徒が、学校があることの大切さに気が付いたのではないでしょうか。コロナ禍で、子供たちは新たな気付きを得た可能性があります。

次に、生徒たちは再開後の学校生活にどのような不安を抱いていたのでしょうか。また、学校にどのような要望を持っているのでしょうか。

最も多かった不安は学習面です。「授業についていけるか」(61%)、「遅れを取り戻せるか」(55%)、「受験(進路)に影響しないか」(43%)…。

学校への要望には、「授業を急がないで」「スピードは速くても、分からないところは詳しく教えて」「詰め込み過ぎないで」「丁寧に教えて」等々、遅れを取り戻そうと急ぐ学校への懇願とも言える願いが多く見られました。

また、「学校で自分が新型コロナウイルスに感染するのではないか」(41%)と不安を抱く生徒が少なからずいることは受け止めなければなりません。生徒も不安なのです。先生と生徒が一緒になって学校の予防対策を考えることができたら意義あることでしょう。

その他、低下した体力面の不安、友達とうまくやれるかどうかの不安、学校行事などがないメリハリのない学校生活になることへの不安も少なくありません。

焦る社会。急ぐ学校。大人は子供の声に耳を傾け、子供たちが置き去りになっていないか、確かめながら進んでいかなければなりません。

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