【世界の学校、世界の潮流(4)】生徒と学校が意見を交わすための機関

Demo代表・教育ファシリテーター 武田 緑
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スウェーデンの首都・ストックホルム郊外の基礎学校(小中学校)を訪ねた時、子どもたちが生徒会(Student Council)と給食協議会(Food Council)について説明してくれました。これらはいずれも、生徒側と学校側が学校生活に関して意見を交わすための機関。基本的には学級ごとの代表が集まり、さらにその代表者が学校側と話し合うスタイルがとられています。

例えば生徒会ではこんな意見を出しながら議論するのだそうです。

「時計が小さくて見えないから困ってる。どうにかならない?」

「サッカーボールがもう一つ欲しいんだけど」

「グラウンドの利用法の調整をしたい(使用する時間や場所をどう分けるか)」

「毎週木曜日はクッキングやスポーツがある楽しい時間割の日なのに、そこに遠足を入れるなんて嫌だ。日程を変えてほしい」

オープンな話し合いが行われ、子どもたちの意見、要望が通ることも少なくありません。遠足の日程は実際に変わったそうです。

一方、給食協議会はこんな感じです。

「魚料理が週3回は多すぎる、1回で十分」

「フルーツがぐちゃっと盛られているの、やめてほしい」

「じゃがいもがいつも硬いんだけど、もっと軟らかく料理してほしい」

ちょっと笑ってしまいそうな、素朴でかわいい意見ですが、給食の時間が楽しくうれしい時間であることは、学校生活において大事なことではないでしょうか。

給食は子どもたちの正直なニーズが出やすいテーマであると感じます。日本では厳しい給食指導が不登校の直接的なきっかけになることもあり、給食の在り方について子どもたちが意見できることは、スウェーデン以上に意味を持つように思います。

もちろん、食育的な観点も大切ですし、シェフや学校側にも考えがあるわけなので、何でもそのまま意見が通るわけではありません。ただ、子どもたちの声が尊重され、場に反映されるということは、何より「あなたたちが社会をつくっていくのだ」というパワフルなメッセージになっていることでしょう。

こうした教育が行われる一方で、スウェーデンでも学校選択制が導入され、公教育の市場化が進んでいるような側面もあります。地域間格差も歴然と存在しています。

そうした状況の中で、先述したようなクリエーティブな市民を育てる教育の「質」を担保していけるのか、学校が抱えている課題は大きいようです。

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