【世界の学校、世界の潮流(9)】暮らし・地域・命とつながる韓国の代案学校

Demo代表・教育ファシリテーター 武田 緑
この連載の一覧

日本で「韓国の教育」と聞けば、熾烈(しれつ)な受験競争をイメージする人が多いのではないでしょうか。もちろん、それも大きな側面ではありますが、一方でメインストリームの教育がストレスの高いものになっているが故に、そうでない教育=子どもたち主体の学びや協働的な学び、持続可能で平和な社会をつくっていける人を育てる民主的な教育=代案教育(オルタナティブな学び場)が、リベラル派の市民の間で強く求められている側面もあります。一定の条件をクリアした代案学校は、国からの認可を受けることもでき、公的補助が出ます。

日本では、不登校の社会問題化を背景に、1980年代中頃からフリースクールが生まれました。韓国で代案学校が増え始めたのはそれより10年ほど後になりますが、今では公的補助の存在など、日本より進んでいる部分もあります。

エコで持続可能な自治コミュニティーづくりを実践しているソンミサンという地域において、住民主体のまちづくり運動の中で立ち上がった「ソンミサンマウル学校」は、韓国の代案学校の草分け的存在です。授業は2~3つの学年が一緒に学ぶ異年齢学級で行われ、自分たちの生活に直結したテーマをプロジェクト学習の形で学んでいきます。

例えば、私たちが訪問した際、初等部は「衣」「食」「住」の三つのチームに分かれて活動していました。「住」のクラスでは、学校にどんな遊び場、遊具があったら楽しいかを自分たちで考え、地域企業と連携して実際に作るという取り組みの真っ最中でした。他の学年も、街で拾ってきた廃材のリユースを考えたり、自分の家がどれだけ節電できているかのグラフを作ったり、はたまた地域に暮らす独居高齢者をサポートする方法を考えたりと、暮らしとつながる実践な取り組みが盛りだくさんでした。

このように、地域での暮らし、さらには「この社会で、地球で、生きていくということそのもの」について考えてアクションを起こす教育をしているところが多いことは、韓国の代案教育の特徴だと感じます。また、環境意識が高く、日常の暮らしと教育・学びを切り離さないということだけでなく、「教育を変えよう」という意識が「社会を変えようという意識」と密接に結び付いています。教育運動が、人権運動や環境運動、平和運動とつながっているようなイメージです。日本の感覚からすれば、多分に政治的であるとも言えると思います。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集