【パブリック・リレーションズ(2)】第一の柱「倫理観」

日本パブリックリレーションズ研究所、パブリック・リレーションズ for School 導入アドバイザー 木野雄介
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さて、今回は「パブリック・リレーションズ」の三つの柱の一つである「倫理観」について、私なりの考え方をお伝えしようと思います。

この倫理観を『パブリック・リレーションズ for School』のテキストでは「みんながハッピーであること」と表現しました。

「みんながハッピー」と聞くと「では、自分のハッピーを犠牲にしないといけないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。「みんな」の中には「あなた」も入っています。

つまり、「誰も不幸せな人をつくらない」ということです。あなたもハッピー、みんなもハッピー、それを目指そうということです。

ただし、人それぞれ好みや価値観がありますから、枝葉末節まで個人の利益を追求したら、他者とぶつかることもあるでしょう。ですから、「最上位の目的」を共有することが大切になってくるのです。

私は、究極的には「誰も不幸せな人をつくらない」が「世界の最上位の目的」だと思っています。

自由と民主主義をうたう米国ですが、1965年まで黒人の参政権が制限されるほど、人種差別が社会の中で存在していました。参政権が付与されたからといって人種差別がなくなることはなく、今なお根深い社会問題となっているのは周知の通りです。

1960年代、こういった人種差別問題に一石を投じたのが「I Have a Dream」という言葉で有名なキング牧師です。彼のスピーチは今なお世界中の多くの人々の共感を呼び、日本の教科書にも掲載されています。でも、「I Have a Dream」のフレーズがあまりにも有名なので、中身をよくご存じでない方も多いのではないでしょうか。

彼はスピーチの中で、差別主義者や奴隷所有者といった、いわば「敵」と戦うことを否定しています。それどころか、「彼らと手をつなぎたい」と言ったのです!

なぜでしょうか。キング牧師は「誰も不幸せな人をつくらない」ために、それぞれの違いを乗り越えて、差別のない、真の意味でフラットな社会、フレンドリーな社会の実現を目指していたからです。まさにパブリック・リレーションズの考え方だと思います。

今なお、世界各地で起きている人種・民族差別問題を、皆さんはどうお考えでしょうか。
【参考文献】
American Center Japan 国務省出版物「米国の歴史と民主主義の基本文書」より


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