【学校×スマホ(8)】ポイントは「自己指導能力」の育成

兵庫県立大学准教授、学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議座長 竹内 和雄
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携帯電話の持ち込みを認める際の4条件のうち、最も重要なのは4つ目の「自律的なルールを生徒や保護者が主体的に考え、協力して作る機会設定」だと私は考えています。

一般企業の人と話すと「今の若者は、ただ『やりなさい』と指示をしても、前向きに取り組まない。仕事やルールの意味をきちんと理解・納得してから着手したいという姿勢が強いので、そういう方向で新任研修は動いている」などの声をよく聞きます。見方を変えれば、きちんと説明して理解・納得させることができれば、人一倍成果を残す可能性もあるのですから、社会として歓迎すべき方向です。「昭和」の「俺の背中を見て学べ」は通用しなくなっています。

学校における生徒指導も同様、厳しいルール・制限を設け、盲従させるような前時代的指導はもはや通用しない場合がほとんどです。これからの時代は、子供たち自身にルールづくりに参画させ、生徒指導提要以来、文科省が推奨している「自己指導能力」を育んでいくことがポイントとなります。昔はルールを守らないと身体的、精神的な苦痛が「生徒指導担当」などから与えられる前提がありましたが、今は昔です。

実際に今回のヒアリングでも、生徒が主体となり、対話を通じてルールを作った学校では、ほとんどトラブルが起きていないと報告されています。グラフは兵庫県青少年本部が約3000人の小中高校生を対象に2018年に実施した調査結果です。子供はネット利用について「保護者との」「自分の」ルールは破っても、「学校(生徒会)の」「友達との」ルールは破りません。こうしたデータからも、子供によるルールづくりが効果的だと分かります。

「子供にルールづくりをさせたら、制限が緩くなるんじゃないか」との懸念もあると思いますが、私がこれまで見てきた限り、その心配はほとんどありません。今時の中高生は、携帯電話の便利さや楽しさだけでなく、ネットいじめや長時間利用など、その危うさもよく認識しているからです。きちんとファシリテートして話し合わせれば、大人たちが納得するようなルールが出来上がります。

新しい学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」が盛り込まれ、子供たちを「自律的な学習者」にすることが各学校には求められています。知識を一方的に与える授業から、子供たち自身が興味・関心を持って、主体的に学んでいく授業への転換が求められています。携帯電話の持ち込みを巡るルールも同じで、学校がルールを一方的に押し付けるのではなく、子供たち自身がルールづくりに参加するプロセスが不可欠です。子供主体のルールづくりは、新学習指導要領の理念にも合致しています。


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