【学校×スマホ(9)】それでも逆らえない「持ち込み容認」の流れ

兵庫県立大学准教授、学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議座長 竹内 和雄
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今回の通知は持ち込みがなし崩し的に認められようとする現状の流れに、歯止めをかける役割を担っています。先鋭的な人の中には、「そんなブレーキは不要」と言う人もいるかもしれませんが、今のままでは事件やトラブルが増え、教員や子供たちにとっても良いことはありません。この見解は、現場の関係者であれば、理解・納得してもらえると思います。

しかし、矛盾するようですが、持ち込み容認の流れ自体は、もはや逆らうことができません。今回のコロナ禍において、子供たちはネット三昧の日々を送り、男の子はゲームやYouTube、女の子はSNSやLINE電話を用いたおしゃべりに没頭しました。子供のスマホへの愛着、依存度はこれまで以上に高まっています。こうした事実も、「持ち込み容認」の流れを加速させるに違いありません。

マスコミでも、持ち込みを認めるのが必然的な流れという記載が数多く見られます。今回の通知が、基本方針において前回の通知と変わっていない中で、多くの新聞社・テレビ局が「持ち込み容認へ」と報道しました。「ミスリード」とする方も多いですが、多くの方がこの問題に関心を持っていただいたので、結果的には良かったのかもしれません。

さらには、「スマホネイティブ2世」(高校・大学時代からスマホを使ってきた世代の子供たち)が、今は小学校2年生になっています。この世代が高学年になれば、「子供に携帯を持たせたい」「学習活動にも使うべき」などと主張する保護者も当然増えるでしょう。

私自身も、10年後には子供たちがごく当たり前に、学校へ携帯を持っていく時代が到来していると思っています。「GIGAスクール構想」が前倒しされ、学校におけるデジタルデバイスの利用が進めば、その時期はさらに早まるかもしれません。

ならば、今すぐにでも持ち込みを認めるべき――そう言う人がいるかもしれませんが、学校の準備が不十分なままなし崩し的に容認すれば、不幸な事故やトラブルが続発します。今回の通知は、加速度を増す「持ち込み容認」の流れにブレーキをかけ、各学校がルールを作り、子供のリテラシーが育ち、セキュリティの技術が向上するのを待つという「時間稼ぎ」の役割も担っていると考えています。学校関係者はそんな認識を持って、一刻も早くルールづくり等の条件整備に着手してほしいと願っています。


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