【パブリック・リレーションズ(5)】ロー・コンテクストへ

日本パブリックリレーションズ研究所、パブリック・リレーションズ for School 導入アドバイザー 木野雄介
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ハイ・コンテクスト(ハイコン)、ロー・コンテクスト(ローコン)という言葉をご存じでしょうか。コンテクスト(context)とは、①文章などの前後の関係・文脈、②事件や出来事に関わる事情・背後関係、という意味の英語です。

ハイコンは、共通理解を前提とし、文脈から推察するようなコミュニケーションです。いわゆる「空気を読む」というスタイルで、島国の日本に多く見られがちなコミュニケーションスタイルと言われています。

一方、ローコンは、共通項が少ない人同士のコミュニケーションにおいて、遠回しな言い方をせずに伝えるスタイルです。米国や欧州のように、地続きでさまざまな文化圏の人が混在している地域で見られがちなコミュニケーションスタイルと言われています。

私は初めて会う生徒たちに、「これから君たちが身に付けなければならないスキルは何だと思う?」と質問をします。すると多くの生徒が「英語」「ICT」「コミュニケーション能力」の三つを挙げます。

英語やICTは授業で扱うこともあり、今回はいったん、横に置いておきます。問題は「コミュニケーション能力」です。何が問題かというと、「コミュニケーション能力を高めたい」と多くの生徒が考えているにもかかわらず、その手段において明確な、画期的な方法を明示している学校がほとんどないからです。

今後、グローバル社会が進展していくことは、誰もが疑わないことだと思います。日本人の海外進出もさらに増加するでしょうし、多くの外国人労働者・留学生が来日することでしょう。そんな時代に、私たちが元来行ってきたハイコンスタイルのコミュニケーションでは、外国人や異なる文化を持つ人たちに誤解を与え、摩擦を起こすことにもなりかねません。

ハイコンにも「おもてなし」の精神のようにきめ細かな思いやりが含まれていますが、学校はハイコン文化からローコン文化に軸足を変えていく必要があるのではないでしょうか。

そのためには、複式学級にしたり、学外の人々との交流を活性化したりするなど、自分とは異なる属性の人たちと関わる機会を日常的に設けるのがよいと思います。今後はそのためのコーディネーターが各学校に1人ずつ配置されるかもしれません。学年が上がるにつれて、徐々に県外へ、国外(グローバル)へと広げていく。こうした過程で、パブリック・リレーションズの「倫理観」「双方向性コミュニケーション」「自己修正」を実践的に身に付けていくことが大切だと考えています。


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