【自学自習ノート(1)】ドリル宿題廃止までの軌跡

水戸市立石川小学校校長 豊田 雅之
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皆さんは小学生の宿題と聞くと、どういったものを想像するでしょうか。一般的には計算ドリル・漢字ドリルが挙げられると思います。今回の連載のテーマである「ドリル宿題廃止」と聞くと、ドリルは宿題として良くないものだから廃止したんだろうと思われるかもしれませんが、ドリル自体を否定しているわけではありません。ポイントは「2030年問題」です。超少子高齢化社会の到来が、私に「ドリル宿題廃止」を決心させたと言ってもよいと思います。

2030年問題とは

私は地元の茨城大学教育学部を卒業してから、県内の私立女子中高で非常勤講師として働き始めました。そこに通ってくる生徒は、お世辞にも勉強ができる子ばかりではありません。下手をすると小学校の算数もままならない場合もありました。勉強が好きな生徒は多くなかったように思います。

ところが、入学して気持ちも新たになったからでしょうか、「できるようになりたい」と補習を希望する生徒もいたのです。一つずつ丁寧に教えていくと、ニコニコしながら頑張ります。今思えば、少し前に公開された映画「ビリギャル」そのものでした。そのような生徒と触れ合っていくうちに、「いつから学習が嫌いになったんだろう」と思うようになりました。

その後、茨城県の教員として3つの中学校で担任をした後、小学校に異動し、2つの学校で担任をしてきました。中学校は教科担任制ですから、担任が出す宿題というのはそう多くはなかったように思います。そして、小学校の担任になって「ドリル宿題」に出合ったわけです。

ドリル宿題というのは「今日の宿題は、漢字ドリルの○○番、計算ドリルの○○番」と、クラス全員に一律の課題を与えるものです。そして、ドリルの同じ問題を何回も繰り返しやらせます。「ドリルは夏休み前までに3回繰り返そう。できない人は、休み時間返上で頑張ること」なんてことが日常茶飯事で、私はおかしいと思いながら担任をしていました。

そして、校長になった今、「私が先頭を切って改革しないと」と決心するに至ったわけです。この連載を通して、私がいかにして「ドリル宿題廃止」を進め、どのように児童と保護者が変わってきたのか、その全てをお話ししたいと思います。

【プロフィール】

豊田雅之(とよた・まさゆき) 水戸市立石川小学校校長。私立女子中高、公立小・中学校の勤務を経て2015年より教頭、校長を歴任。教頭時代には、文科省「少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業」や茨城県牛久市立奥野小学校の国連ユネスコスクール認定に中心的に関わった。子供たちに「未来を生き抜く本当の学力」を身に付けさせたいという強い思いから、昨年よりドリル宿題を廃止した自主学習ベースの「いしかわスタイル家庭学習」を推進。共著に『最新小6理科授業完全マニュアル』(学研教育出版)。


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