【パブリック・リレーションズ(6)】クラス担任の実践例

日本パブリックリレーションズ研究所、パブリック・リレーションズ for School 導入アドバイザー 木野雄介
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クラス担任を受け持ったとき、私が気を付けていることがあります。担任したクラスを「私のクラス」と言わないことです。「私のクラス」という言葉には、暗に「私がクラスのオーナー(リーダー)」という意味が込められているような気がするからです。自分がオーナー気分になってしまわないよう戒める意味も込めて、「私が担任しているクラス」と言っています。

4月、生徒たちは「自分のクラスには良い先生が来てほしい」と思っています。では「良い先生」とは何でしょうか。「優しい先生が良い」という意見もあれば、「厳しい先生の方が良い」という意見もあります。

私の中の答えは「生徒の成長を邪魔しない先生」です。決してオーナーでもリーダーでもありません。このようにパブリック・リレーションズでは、双方向性コミュニケーション、対等な人間関係を目指します(本連載の第3回を参照)。

ですから、クラス担任は生徒たちの邪魔になっているモノ・コトがあれば、徹底的に取り除く手伝いをします。その一例を紹介します。

私が以前勤めていた学校では、毎日放課後に、当番制で生徒たちが掃除をすることになっていました。ある日、掃除の責任者である美化委員の生徒が私にこう言ってきました。

「先生、教室って毎日掃除しないといけないんですか?」

私はハッとさせられました。そんな決まりは見たことも聞いたこともなく、私も何となく慣習で指示していただけだったからです。美化委員は最上位の目的が「教室の美化」でありながら、その手段として「毎日掃除する」必要性に疑問を感じたわけです。

そこで私は「君たちでルールを決めていいよ。ただ、誰一人嫌な思いをすることがないようにしてください」と伝えました(第2回を参照)。

もしこの時、私が「昔からの決まりだからやって」と手段を目的化した返答をしていたら、生徒たちは思考停止の癖がついてしまい、ゆくゆくは「支配されやすい人間」になってしまうのではないかと考えています。

「生徒の成長を邪魔しない先生」というのは、生徒が自分の頭で「何がベストなのか」を考えて実行できるよう、手助けをする先生です。

その後、美化委員の生徒は、1日置きに掃除日を設定した案を提示し、生徒たちに認可され、その年度の3月まで続きました。うまくいかないときは、最上位の目的に立ち返って修正していました(第4回を参照)。そして、次年度のクラス替え後、生徒たちは各自の新しいクラスでこのルールを提案し、広まっていきました。

先生方もパブリック・リレーションズ的クラス運営術を取り入れてみませんか?


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