【コロナの先の学習評価の行方(4)】育てるべき資質・能力を教科に即してどう捉えるか

京都大学准教授 石井 英真
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新たな3観点による評価の在り方について、「知識・技能」において事実的で断片的な知識の暗記再生だけでなく概念理解を重視すること、「主体的に学習に取り組む態度」において授業態度ではなくメタ認知的な自己調整として捉え直し、知識・技能や思考・判断・表現と切り離さずに評価することなどが強調されています。全ての観点において、思考・判断・表現的な側面が強まったように見えますが、そこで目指されている学力像を捉えて評価方法へと具体化していく上で、学力の三層構造を念頭に置いて考えてみるとよいでしょう。

新しい評価実践の方向性

前回触れた目標分類学の研究成果を概括すれば、教科の学力の質は以下の3つのレベルで捉えることができます。

まず、個別の知識・技能の習得状況を問う「知っている・できる」レベル(例:三権分立の三権を答えられる)であれば、穴埋め問題や選択式の問題など、客観テストで評価できます。

しかし、概念の意味理解を問う「分かる」レベル(例:三権分立が確立していない場合、どのような問題が生じるのかを説明できる)については、知識同士のつながりとイメージが大事で、ある概念について例を挙げて説明させたり、構造やイメージを絵やマインドマップに表現させてみたり、適用問題を解かせたりしないと判断できません。

さらに、実生活・実社会の文脈における知識・技能の総合的な活用力を問う「使える」レベル(例:三権分立という観点から見たときに、自国や他国の状況を解釈して問題点などを指摘できる)は、実際にやらせてみないと評価できません。実際に思考を伴う実践をやらせてみて、それができる力(実力)を評価するのがパフォーマンス評価です。

従来の観点別評価では、「知識・理解」「技能」について、断片的知識(「知っている・できる」レベル)を穴埋めや選択式などの客観テストで問い、「思考・判断・表現」については、主に概念の意味理解(「分かる」レベル)を適用問題や短めの記述式の問題で問うようなテストが作成されます。一方で、「関心・意欲・態度」については、子供たちのやる気を見るテスト以外の材料を基に評価されているように思われます。

社会に開かれた教育課程や資質・能力ベースをうたう新学習指導要領が目指すのは、「真正の学習(authentic learning)」(学校外や将来の生活で遭遇する本物の、あるいは本物のエッセンスを保持した活動)を通じて「使える」レベルの知識とスキルと情意を一体的に育成していくことなのです(表)。次回以降、この意味を詳しく説明していきます。


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