【パブリック・リレーションズ(8)】保護者への活用例

日本パブリックリレーションズ研究所、パブリック・リレーションズ for School 導入アドバイザー 木野雄介
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先生はさまざまなステークホルダーと関係を持ちます。その中でも最も気を遣うのが、保護者との関係ではないでしょうか。

私は以前、教頭先生に「生徒の背後に保護者がいると思って、指導の際の言動に気を付けなさい」と言われました。今では私が若手の先生に対して「夕飯時の話題になるような授業をしよう」などとアドバイスしています。

それほど保護者は重要なステークホルダーです。なぜなら、保護者と先生は「子供をより良い成長に導きたい」という最上位目的を共有している「同志」だからです。

そこで、年度初めの保護者会における「担任を通じて学校を信頼してもらう」ための実践例を紹介します。

まず、座席は心理的安全性を考えて、前のクラス・部活動などの共通項のある保護者の4人グループにします。これだけで教室内の雰囲気は温まります。

私から自己紹介や学校・学年共通の話をした後は、ディスカッションタイム。話題は「子育て悩み相談」とし、「うちの子、全然勉強しないんです」「うちはこうやったらうまくいった」などといった形で、共感し合ってもらいます。「悩んでいるのは私だけじゃないんだ」というフラットな感覚や共感をPRでは大切しています。

盛り上がっているところで、「実は子供たちにも『保護者への悩み』についてアンケートを取りました。その結果がこちらです!」と、事前に生徒たちから取ったアンケート結果を公開します。具体的に、生活面、学習面それぞれについて、保護者に改善してほしい点をスライドに投影します。なお、アンケートは全て匿名で、保護者に公開することを事前に伝えています。生徒たちはわざと超プライベートな内容を書いたりするので、保護者はみんなゲラゲラ笑いながら大いに盛り上がります。

一段落したところで「でも、こんなアンケートも取ったんです」と、「保護者に感謝していること」のアンケート結果も公表します。ここでも生徒たちは、普段は面と向かって言えないような内容を書いているので、保護者の方々は真剣にわが子の痕跡を探します。あまりに美しい感謝の言葉に、涙を流す保護者もいます。

最後に席替えをして、お互いに「はじめまして」の保護者同士でフィードバックをして終了です。

先生と保護者は同志です。どちらかが上に立とうとすると関係がギクシャクしてしまいますが、最上位目的を共有していれば、保護者は先生や学校を信頼してくれます。こういった関係を4月の時点でつくれるかどうかが、学校運営・学級運営における重要なポイントだと思います。


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