【コロナの先の学習評価の行方(5)】新3観点をどう捉えるか(知識・技能) 

京都大学准教授 石井 英真
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P説=学力・学習の質的レベルに対応した各教科の課題例

「知識・技能」の評価は、「ペーパーテストにおいて、事実的な知識の習得を問う問題と、知識の概念的な理解を問う問題とのバランスに配慮するなどの工夫改善を図るとともに、例えば、児童生徒が文章による説明をしたり、各教科などの内容の特質に応じて、観察・実験をしたり、式やグラフで表現したりするなど実際に知識や技能を用いる場面を設けるなど、多様な方法を適切に取り入れていくことが考えられる」(文科省「児童生徒の学習評価の在り方について」)とされています。

「知識・技能」というと、年号や単語などの暗記再生(「知っている・できる」レベルの学力)を思い浮かべがちですが、ここで示されているのは、「概念」の意味理解(「分かる」レベルの学力)の重視です。これまでの「知識・理解」「技能」の観点を「知識・技能」の観点に統合するに当たり、「理解」が抜け落ちないようにすることが強調されています。日々の「分かる」授業により、理解を伴った豊かな習得(有意味学習)を保障し、記憶に定着しかつ応用の利く知識にして、生きて働く学力を形成していくことが求められているのです。

「知っている・できる」レベルの評価においては、重要語句の穴埋め問題や選択問題などの客観テスト、簡単な実技テストが有効です。これに対して、「分かる」レベルの評価においては、適用問題や学習者のイメージを自由に記述させる描画法、マインドマップによる図示など、知識をどうつないでどのようなイメージを構成しているのかを表現させてみること、学んだ内容の意味を生活と結び付けて捉えられているかを問うことなどが有効です。

また、日々の授業で学習者に考えさせる際に、思考のプロセスや答えの理由をノートやワークシートに残させることも、学習者の分かり方やつまずきを把握する上で有効です。

学力・学習の質的レベルに対応した各教科の課題例

日々「分かる」授業を大事にしていても、評価では「知っている・できる」レベルに重点が置かれていることがないでしょうか。例えば、「墾田永年私財法は何年に発布されたか答えなさい」と問うのではなく、「次のものを年代の古い順に並べ替えよ。ア)墾田永年私財法、イ)三世一身法、ウ)荘園の成立、エ)班田収授法」と問うことで、古代の土地制度で公地公民制が崩れていく過程が理解できているかどうかを評価するといった具合に、客観テストも問い方次第で「分かる」レベルを評価するものとなります。「分かる」授業の追求と同時に、「分かる」レベルの評価について、テスト問題を一工夫してみるとよいでしょう()。


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