【パブリック・リレーションズ(9)】家庭での活用例

日本パブリックリレーションズ研究所、パブリック・リレーションズ for School 導入アドバイザー 木野雄介
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わが家には小学1年生の長女と、保育園年中の次女の二人の娘がいます。どの家庭もそうですが、普段はとても仲良く遊んだり、テレビを見たり、一緒にお風呂に入ったりしていますが、ふとした拍子にけんかをすることがあります。まだ二人だけで丸く収めることは難しいようで、たいていは親の仲裁が必要です。

ある日、妹が姉のおもちゃで遊んでいたところ、姉がそれを発見し、妹から強引に取り上げたことが発端で、けんかになりました。また、姉がおもちゃを取り戻す際、妹は抵抗して姉をたたいたそうです。妹はおもちゃを取り上げられて大泣きするわ、姉はたたかれて大泣きするわで、わが家は大混乱となりました。

さて、仲裁に入りましょう。このとき「どうしたの?」と子供たちに聞くと、

妹「お姉ちゃんがおもちゃを無理やり取った!」

姉「妹にたたかれた!」

と、二人ともいかに自分が被害者であるかを主張し、けんかは収まりません。そこで「どうしたかったの?」と聞くと、

妹「お姉ちゃんのおもちゃで遊びたかった」

姉「私のおもちゃで勝手に遊んでほしくなかった」

とのことです。けんかになる直前には必ず「思惑のすれ違い」が発生しています。ここで初めて、双方はそれぞれの思惑がすれ違っていることを認識できました。

そして、私から「じゃあ、どうしたら〝みんなが幸せ〟になれたのかな?」と聞きました。

妹「お姉ちゃんに『使っていーい?』と、先に聞いておけばよかった」

姉「『あとで返してね』と言ってあげればよかった」

と二人とも改善策まで考えることができました。

「みんなの幸せ」、これはパブリック・リレーションズの「倫理観」に当たります。「改善策」、これは「自己修正」の部分です。

どうしたら自分の願いがかなえられるのか。強引に取り上げたり、相手をたたいたりしては、不幸な人を生み出してしまうため、最適な手段とは言えません。自分の願いをかなえるためには、みんなが幸せになる(=誰も不幸にしない)ことを考える必要があり、この考え方を子供のうちに身に付けてほしいものです。

なお、別の日に、寝坊している娘たちに私が、「オーイ!朝だぞー!起きろー!!」と大きな声を出したら、次女から「お父ちゃん、そんな言い方したら、みんな幸せにならないよ」と、たしなめられてしまいました。自己修正します!


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