【コロナの先の学習評価の行方(6)】新3観点をどう捉えるか(思考・判断・表現)

京都大学准教授 石井 英真
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「思考・判断・表現」の評価は、「ペーパーテストのみならず、論述やレポートの作成、発表、グループでの話合い、作品の制作や表現等の多様な活動を取り入れたり、それらを集めたポートフォリオを活用したりするなど評価方法を工夫することが考えられる」(文科省「児童生徒の学習評価の在り方について」)とされており、「パフォーマンス評価(PerformanceAssessment:PA)」の有効性が示されています。

PAとは、一般的には、思考する必然性のある場面(文脈)で生み出される学習者の振る舞いや作品(パフォーマンス)を手掛かりに、概念の意味理解や知識・技能の総合的な活用力を質的に評価する方法です。

それは狭義には、現実的で真実味のある場面を設定するなど、学習者の実力を試す評価課題(パフォーマンス課題)を設計し、それに対する活動のプロセスや成果物を評価する、「パフォーマンス課題に基づく評価」を意味します。具体例として、町主催のセレモニーの企画案を町の職員に提案する社会科の課題、栄養士になったつもりで食事制限の必要な人の献立表を作成する家庭科の課題などがあります。比較・関連付けや構造化など、特定の内容の習得・適用に関わる「わかる」レベルの思考力とは異なり、意思決定や問題解決など、文脈に応じて複数の知識・技能を総合する「使える」レベルの思考力を試すのがパフォーマンス課題です。

また、広義のPAは授業中の発言や行動、ノートの記述から、子供の日々の学習活動のプロセスをインフォーマルに形成的に評価するなど、「パフォーマンス(表現)に基づく評価」を意味します。「総合的な学習の時間」の評価方法としてしばしば使用されるポートフォリオ評価法も、PAの一種です。

高校1年生の英語科のパフォーマンス課題とルーブリックの例

テストをはじめ従来型の評価方法では、評価の方法とタイミングを固定して、そこから捉えられるもののみを評価してきました。これに対しPAは、課題、プロセス、ポートフォリオなどにおける表現を手掛かりに、学習者が実力を発揮している場面に評価のタイミングや方法を合わせるものと言えます。深く豊かに思考する活動を生み出しつつ、その思考のプロセスや成果を表現する機会を盛り込み、思考の表現を質的エビデンスとして評価していくのがPAなのです(授業や学習に埋め込まれた評価)。

なお、図表のように、パフォーマンスの質(熟達度)を判断する評価指標(成功の度合いを示す3~5段階程度の尺度と、各段階の認識や行為の質的特徴の記述語や典型的な作品例を示した評価基準表)をルーブリックと言います。


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