【写話から浮かび上がる子供(1)】こども研究所の写話調査

博報堂教育財団こども研究所
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「子供について、私たち大人はどこまで分かっているのだろうか?」

それが私たちの調査研究の起点となった「問い」だ。私たち博報堂教育財団こども研究所は、博報堂を出自とする公益財団法人「博報堂教育財団」の調査研究事業を担う組織として2017年発足した、まだ「ひよっこ」の研究所である。

インタビューの様子

その「ひよっこ」研究所が、どのように「子供」にアプローチするのか。発足当初、学校の先生や研究者など、さまざまな教育関係者にアドバイスを求める中で生まれたのが、冒頭の「問い」だ。大人は「子供はこういうもの」という常識や「子供はこうあってほしい」という願いが先立って、真の子供の姿を見ていないのではないか、との声が聞こえてきた。

そこで、子供たちが実際に何を感じたり考えたりしているのか、「ありのままに捉える」手法を模索して、たどり着いたのが「写真談話構成法(写話)(R)」である。対象者が撮った写真を使ったインタビューで、2004年に博報堂のシンクタンク、博報堂生活総合研究所が開発した調査だ。それを、自我が芽生え、嗜好がハッキリしてくるとされる10歳前後の子供たちを対象にやってみることにした。

調査は、子供たちに「いっぱい撮ってきてね!」と言いながら、インスタントカメラのチェキ1台と大量のフィルムを渡すことから始まる。撮影期間は週末を含めた1週間。「好きだな」「いいな」と思ったヒト・モノ・コトを自由に、枚数の制限なく撮ってもらった。

その後、写真について、1人につき1時間のインタビューをする。トライアル調査では、用意した会議室に親と一緒に来てもらったが、子供たちの本音を聞き出す最適な環境ではなかった。子供は想像以上に大人の顔色をうかがい、「忖度」する。そこで、子供が通い慣れた場所で、親には別室で待機してもらう方法に変えて、2019年夏に東京都中野区の子供たちを対象に、本調査をスタートした。

以降、環境・日常体験の異なる子供たちの話を聞こうと、広島県江田島市、群馬県前橋市、岩手県山田町にも出向いた。昨年中に各地点5人ずつ、合計20人に話を聞き、その結果を地点ごとにまとめて、今年4冊のレポートとして発行した。
次回より、4地点での「写話調査」から、小学5年生(一部4年生)の子供たちのエピソードをご紹介していきたい。

【プロフィール】

公益財団法人博報堂教育財団 次世代を担う子供たちの豊かな人間性を育成するために1970年に設立。以来、「こども」「ことば」「教育」をテーマに、児童教育の実践者を顕彰する「博報賞」をはじめとする事業を行っている。


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