【コロナの先の学習評価の行方(7)】新3観点をどう捉えるか(主体的に学習に取り組む態度)

京都大学准教授 石井 英真
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「主体的に学習に取り組む態度」について、文科省「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(以下、「報告」)では、「単に継続的な行動や積極的な発言等を行うなど、性格や行動面の傾向を評価するということではなく、(中略)知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である」とされ、そしてそれは「(1)知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、(2)(1)の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面」という二つの側面で捉えられるとされています。

情意の諸相と育成の方法論

情意の中身を考える際には、学習を支える「入口の情意」(興味・関心・意欲など)と学習を方向付ける「出口の情意」(知的態度、思考の習慣、市民としての倫理・価値観など)とを区別する必要があります()。入口の情意は教材の工夫や教師の働き掛けで喚起するものであり、授業の目標として掲げるものというよりは、授業過程で学び手の表情や教室の空気から感じるものも含めて、授業の進め方を調整する手掛かりとなるものでしょう。

これに対して出口の情意は、授業での学習を通してこそ生じる変化であり、目標として掲げ得るものです。「主体的に学習に取り組む態度」については、単に継続的なやる気(側面(1))を認め励ますだけでなく、教科として意味ある学びへの向かい方(側面(2))ができているか、「出口の情意」を評価していく方向性が見て取れます。

「報告」では、「主体的に学習に取り組む態度」のみを単体で取り出して評価するのではなく、「思考力・判断力・表現力」などと一体的に評価していく方針が示されています。例えば、思考のみならず、粘り強く考える意欲や根拠に基づいて考えようとする知的態度なども要求されるパフォーマンス課題を設計し、その過程と成果物を通して「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」の両方を評価するわけです。美術・技術系や探究的な学びの評価でしばしばなされるように、その時点でうまくできたり結果を残せたりした部分の評価とともに、そこに至る試行錯誤の過程で見せた粘りや筋(センス)の良さにその子の伸びしろを見いだし、評価するという具合です。結果にすぐにはつながらなくても、泥臭く誠実に熟考する子も含めて評価していく必要があるでしょう。


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