【写話から浮かび上がる子供(2)】大切なもの

博報堂教育財団こども研究所
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以下、こども研究所が実施している写真を使ったインタビュー「写話調査」から、小学5年生の子供たちのエピソードをご紹介していく。

山田町のBさんが通っていた幼稚園の遊具

写話調査で、子供たちは自分が大切にしているものを写真に撮って教えてくれた。

岩手県山田町のD君は、自分が撮った中で一番好きな写真として「しまじろう」のぬいぐるみの写真を選んだ。この指人形型のぬいぐるみとは「9年か10年かくらい一緒にいる」とのことで、「汚くなっているけど、手を入れるところの触感が柔らかくなっているから、むしろ古い方がいい」と言う。この「しまじろう」には、今も時々このぬいぐるみで遊んでくれるお母さんに対する愛情も含まれているようだった。

前橋市のC君は「お気に入りのリュック」を撮ってきた。ちょうど良いサイズだし、小さい頃から持っていて「愛着がある」と言う。お母さんの話では、「新しいものを買って、処分するね」と言った時に、突然大粒の涙をこぼして嫌がったそうだ。子供は子供なりに、ものに対する愛着や、ものと共にある思い出を大切に生きているのだ、と感じた。

山田町のA君は、習っているスイミングの進級バッジと、記録会での賞状の写真を撮ってきてくれた。いろんな色の進級バッジが並ぶ写真は、自分の泳いでいる写真が撮れないので、代わりに「今までやってきた分」として撮ったそうだが、「賞状」の写真の方が大事だと言う。写真に写る2枚の賞状の1枚目は、自分が他の子と競って2位をとった時のもの。2枚目は、リレーで4人が「みんなで協力して頑張って」1位をとった時のものだそう。一人で頑張ったことも、友達と一緒に頑張ったことも、心に深く刻まれているようだった。

愛着のある場所を写真に撮る子もいる。「幼稚園の遊具」を撮ってきてくれたのは、山田町のBさん。楽しかった幼稚園には、今も友達と一緒に時々行くという。幼稚園の先生に学校の話をして、アドバイスをもらうこともある。今でも大事な場所なのだ。

前橋市のDさんは、今の小学校に統合される前に通っていた小学校の写真を「ずっと思い出があったから」と撮ってきた。写真中央に写るクスノキの下で遊んだり、暑いときはその下で休んだりしたという。
子供が大切にしているものの裏側には、それぞれの子の心に残る大切なエピソードがあった。


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