【写話から浮かび上がる子供(3)】学び方十色

博報堂教育財団こども研究所
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「船が浮かぶのが面白いけ、自分も何かを使って作ろうと思って」

夏休みのことを広島弁交じりで語ってくれたのは、江田島市に住むE君。2年かけて300個の牛乳パックを集め、それを材料に友達と船を作ったのだという。江田島市は広島市からフェリーで30分ほどの島。E君の自宅の前はすぐ海という恵まれた環境とはいえ、その発想力と行動力にはびっくりだ。実際に、この牛乳パック船を海に浮かべて2人で遊んだらしい。

江田島市のE君の庭の前に広がる海

「隙間があって、水が入ってすぐ壊れたけど」

親は心配しなかったのか気になって聞いてみたが、全く何も言われなかったらしい。

前橋市のB君は絵を描くのが大好きで、今は人気漫画『鬼滅の刃』を模写するのに夢中。お母さんの話によると、3つ上の近所のお兄ちゃんがとても絵が上手で、「憧れの存在だったのだと思う」とのこと。

自作画を見せてもらうと、『鬼滅の刃』の登場人物の名前が難しい漢字でびっしり書かれている。

「国語だったら漢字が一番得意」

B君は漢字が大好きなのだ。小1の時には、小2になって漢字の授業が始まるのが待ち遠しかったという。彼にとっては、絵を描くことの延長に漢字を書くことがあるように見える。

写話調査をしていると、子供にとっての学びの種はどこにでもあるのだと感心させられることが少なくない。

「勉強は嫌い。こんなこと覚えて未来につながるのだろうかって」

そんな本音を漏らしたのは中野区のE君。でも、学校のサイエンスクラブは大好きで、「フライドチキンを食べて、その骨で鳥の形を作るのは面白かった」という最近の経験を話してくれた。クラブの先生は、行き詰まった時に教えてくれたり、面白いアイデアを教えてくれたりするらしい。

それぞれの環境、それぞれのきっかけで、遊びのような楽しさをもって子供たち自ら学んでいる姿は心強く、聞いている側も思わず笑顔になる。今回紹介した3人の子供は、たまたまかもしれないが、全て自らの手を動かして学んでいる。知識や情報をインプットするだけでなく、手を使った実体験から試行錯誤して学ぶのは、子供たち自身の本能的行動なのかもしれない。


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