【コロナの先の学習評価の行方(9)】学びの節目の見せ場で子供を伸ばす評価とは

京都大学准教授 石井 英真
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試合、コンペ、発表会など、現実世界の真正の活動には、その分野の実力を試すテスト以外の舞台(見せ場)が準備されています。そして、本番の試合や舞台の方が、それに向けた練習よりも豊かでダイナミックです。

学力・学習の質と評価方法との対応関係

しかし、学校での学習は、豊かな授業(練習)と貧弱な評価(見せ場)という状況になっています。「思考・判断・表現」などの「見えにくい学力」の評価が授業中のプロセスの評価(観察)として遂行される一方で、単元末や学期末の総括的評価は、依然として知識・技能の習得状況を測るペーパーテストが中心です。そうした既存の方法を問い直し、「見えにくい学力」を新たに可視化する評価方法(舞台)の工夫は、十分に行われているとは言えません。ものさし(評価基準表)が作られるものの、それを当てる「見せ場」が準備されていない状況が、「指導の評価化」と「評価の多忙化」を生み出しているのです。

課題研究での論文作成・発表会や教科のパフォーマンス課題など、育った実力が試され、可視化されるような舞台を設定していくことが重要です。時には協働で取り組むようなそうした挑戦的な課題を単元末や学期末に設定し、その課題の遂行に向けて子供たちの自己評価・相互評価を含む形成的評価を充実させ、より豊かな質的エビデンスが自ずと残るようにします。行事などのように、節目で持てるものを使い切る経験を通して、学びは成長へとつながっていくのです。

「知識・技能」については、授業や単元ごとの指導内容に即した「習得目標」について、理解を伴って習得しているかどうか(到達・未到達)を評価します。一方、「思考・判断・表現」については、その長期的でスパイラルな育ちの水準を、ルーブリックのような段階的な記述(「熟達目標」)の形で明確化し、重要単元ごとに類似のパフォーマンス課題を課すなどして、知的・社会的能力の洗練度を評価するわけです(水準判断評価としてのスタンダード準拠評価:図参照)。

例えば、単元で学んだ内容を振り返り、総合的にまとめ直す「歴史新聞」を重点単元ごとに書かせることで、概念を構造化・体系化する思考の長期的な変化を評価します。あるいは、学期に数回程度、現実世界から数学的にモデル化する課題に取り組ませ、思考の発達を明確化した一般的ルーブリックを用いて評価することで、数学的モデル化や推論の力の発達を評価するわけです。勝負の授業、単元末の課題、あるいは、中間、期末などの学期の節目など長い時間軸で成長を見守り、舞台で伸ばすことが重要です。


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