【コロナの先の学習評価の行方(10)】評価を生かす単元づくり、授業づくりをどう進めるか

京都大学准教授 石井 英真
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「見せ場」づくりとして観点別評価を実施していくことは、資質・能力ベースの新学習指導要領が重視する、既存の教科の「当たり前」を問い直す実践につながります。これまでの教科学習では、単元や授業の導入部分で具体例的に生活場面が用いられても、ひとたび科学的概念への抽象化がなされたら、後は抽象的な教科の世界の中だけで学習が進み、元の生活場面に「もどる」(知識を生活に埋め戻す)ことはまれでした。さらに、単元や授業の終末部分では、問題演習など機械的で無味乾燥な学習が展開されがちです。

日々の「わかる」授業を構想するポイント

これに対して、よりリアルで複合的な現実世界において科学的概念を総合する、「使える」レベルの課題を単元や学期の節目に盛り込むことは、「末広がりの構造」へと単元構成を組み替えることを意味します。単元の最初の方で単元を貫く問いや課題(例:「日本はどの国・地域と地域統合すればよいのか」(地理)、「自分のことでI have a dream that ____.を書く」(英語))を共有することで、学びの必然性を単元レベルで生み出すこともできるでしょう。そして、「もどり」の機会があることによって、概念として学ばれた科学的知識は、現実を読み解く眼鏡(ものの見方・考え方)として学び直されるのです。

従来の日本の教科学習においては、知識を問題解決的・発見的に学ばせ、「できる」だけでなく、知識をつないだり構造化したりする「わかる」レベルの思考を育てようとするものでした。

これに対し、「使える」レベルの思考は、問題解決・意思決定などの応用志向です。その違いに関してブルームの目標分類学では、問題解決という場合に、「適用」(特定の解法を適用すればうまく解決できる課題)と「総合」(論文を書いたり、企画書をまとめたりと、これを使えばうまくいくという明確な解法のない課題に対して、手持ちの知識・技能を総動員して取り組まねばならない課題)の2つのレベルに分けられています。

「わかる」授業を大切にしてきた従来の日本で、応用問題は「適用」問題が主流だったと言えます。しかし、「使える」レベルの学力を育てるには、折に触れて、「総合」問題に取り組ませることが必要です。単元レベルでは「使える」レベルの「総合」問題に取り組む機会を保障しつつ、毎時間の実践では「わかる」授業を展開するのです。

なお、日々の「わかる」授業を創る上では、図に示したように、「目標と評価の一体化」と「ドラマとしての授業」を意識するとよいでしょう。


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