【写話から浮かび上がる子供(5)】体を動かす楽しさ

博報堂教育財団こども研究所
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写話調査では、好きなスポーツについての写真を撮ってきてくれる子供たちが多い。特に、サッカーはどの地域でも人気で、必ず話題に上がってくる。東京都中野区のAさんは、水曜日と金曜日は学童保育のプログラムでサッカーを選択し、木曜日は学校のクラブで練習があり、土曜日はクラブチームで朝練習があるという。勉強だけでなく、スポーツも多忙かつマルチにこなしている。「2011年にワールドカップで女子が優勝したじゃん。そのビデオをパパが買って来てくれて、何回も見てる」とのことだ。

広島県江田島市のA君がハマっているキャップ投げ

一方で、一般的なスポーツには分類されないような「体を動かす楽しみ」を発見している子供もいる。広島県江田島市のA君は、「一番自分らしい写真」を聞くと、ペットボトルのキャップだと答えてくれた。A君の特技はペットボトルのキャップ投げ。ペットボトルのキャップを指ではじくようにして回転させて投げ、狙った的に当てるという遊びだ。実演してくれたのだが、得意気に投げ方を使い分ける姿がなんともほほ笑ましい。YouTubeで京都大学キャップ投げ倶楽部の動画を見たことがきっかけで、やってみてハマったという。「運動神経がなくてスポーツは全然できないです」と言うA君だが、「下半身はダメで足は遅いけど、肩はまあまあ強い」そうだ。キャップ投げを選んだのは、自分の強い肩を生かして得意技をつくりたかったこともあるのかもしれない。

ダンスで体を動かす子供も少なくない。中野区のDさんは、学童保育のプログラムでダンスを楽しんでいる。「西野カナさんのバックダンサーが教えてくれている」という話は、東京ならではかもしれない。「振り付けは難しいけれど、できれば楽しい」との話を聞くと、ダンス動画が子供たちの間でとても人気があるのもうなずける。

群馬県前橋市のDさんは、友達に誘われて小学4年生の終わり頃から社交ダンスを始めた。今は週に2回、ダンス教室に通っている。「最初は覚えるのが大変だったけど、今は見ないでも組んで踊れる」と、社交ダンスならではの「組んで踊る」という共同作業に触れているのが興味深い。「ダンスはいつまで続けたい?」という質問には、「中学になってもやりたいけど、忙しさとかで決める。部活で忙しかったらやめるかも」とのこと。10歳にしてすでに、多忙な中でのスケジュール管理を頭の中で行っているようだ。

思えば、昔の子供たちは近所の仲間同士で勝手に遊びをつくって体を動かし、自然と運動能力や人間関係能力を鍛えていったのだろう。今はネットから影響を受けたり、習い事に組み込まれていたりという変化はあるのだろうが、自ら体を動かす楽しみを見つけようとしていることに変わりはない。


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