【自学自習ノート(10)】「ドリル宿題廃止」の本質とは

水戸市立石川小学校校長 豊田 雅之
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私の頭の中で大きな存在だったのが、「2030年問題」とウェンガーの「正統的周辺参加論」です。今の小学生が成人する頃、超少子高齢化社会がやって来ます。Society5.0が現実となり、AIが発達する中、予測不可能な社会の中を子供たちは生き抜いていかないとなりません。これまでのような受け身の学習を進めているだけでは、子供たちの未来に危機感しかありません。子供たち自身が世の中の課題を自分からつかみ、主体的に解決できるようにしていくことが大切です。

5年生の自学ノート

そのためには、授業改善をしていく必要があります。GIGAスクール構想による1人1台端末の整備で、学習環境も大きく変化するでしょう。個別最適化された学びが主流になってくるはずです。そのような時代を迎え、クラス全員に一律に同じ課題を出し、それをこなすことを要求する、いわゆる「ドリル宿題」は時代遅れと言い切ってよいと思っています。

日本ではこれまで、全員の平均点を上げる教育をしてきました。一定の効果はあったと思いますが、残念ながら、世界に対する日本の影響力は年々小さくなっているように感じます。このままでは駄目です。教育は変わらなければなりません。新学習指導要領においても、そうしたことが期待されているところです。

子供たちが持つ本来の力を引き出し、羽ばたかせることができるのは、私たち教員だけに与えられた特権だと思っています。これからは才能に溢れる尖った人材が、求められる時代がやって来るのです。

ドリル宿題を廃止し、受け身の学習から主体的な学習へと変換した「いしかわスタイル家庭学習」の本質は、新しい時代に対応した子供の育成と日本の発展です。まだ始まったばかりで修正せねばならないこともたくさんあります。今回は、保護者の意見に救われた部分が多々ありました。やはり教育は、学校と家庭が強く連携して初めて効果があるのだと思いました。

そして、「正統的周辺参加論」。私はこの理論を初めて知った時、目からウロコでした。「いしかわスタイル家庭学習」は、「正統的周辺参加論」の立場からも評価されるのではないかと思っています。(正統的周辺参加論の詳細については、紙幅の関係上割愛します。興味のある方はぜひ調べてください)

写真は5年生の自学ノートです。表紙の裏側(左ページ)にめあてなどをしっかりと書いています。自分の学びがどこにつながるのかを意識する児童が育っています。

(おわり)


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