【先生ができること(1)】本を書いた経緯

弁護士 太田 啓子
この連載の一覧

はじめまして。太田啓子と申します。湘南エリアの中心地、神奈川県藤沢市で弁護士をしています。日常的な弁護士業務としては、離婚事件や相続事件などの家族関係の事件を多く扱っています。特に離婚事件で妻側代理人をする機会が多く、深刻なDVやモラルハラスメント事案には日常的に接しています。私生活では、小学6年生の長男、3年生の次男がいます。彼らの父親とは離婚しておりシングルマザーです。ワンオペ育児歴は約8年半になります。

弁護士業務の本業の傍ら、昨年8月、『これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)という本を出版しました。出版に先立ち、7月7日にTwitter上で以下のように出版を予告したところ、大きな反響があり、出版前にAmazon総合ランキングで最高35位にまでなりました。

イラスト:マシモユウ

「性差別・性暴力を社会から無くすためには、子どもの頃からの男の子の育て方が大事なのではないかとつくづく思って書きました」

「男の子はいずれ性差別構造においてはマジョリティ属性持ちの大人の男性になるので、マジョリティとしての特権を行使して積極的に性差別性暴力を無くすべく動くよう、幼少期から周囲の大人が意識的に働きかける必要があると思う。単に自分が差別しないだけでは足りないということも教える必要があるかと」

「私自身二人の息子の子育て現役なので、『こういうの悩みませんか?』と口火を切る思いです」

出版後、12月18日現在で6刷となり、韓国、中国、台湾での翻訳出版が決まっています。新聞、雑誌、ラジオ、ウェブメディアなどでも多数紹介していただく機会がありました。このようなテーマに関心がある人が多いことを心強く感じています。

私には、「性暴力がこの社会では軽視され過ぎている」「性的尊厳をないがしろにするということは、人間の存在自体をとてもがさつに扱うことだ」というような問題意識がずっとあり、それに向き合いたいというのも弁護士を志した動機の一つでした。この本を書いた背景にもそれがあります。そして、なぜそう感じるようになったかというと、学校でのものも含め子ども時代の幾つかの経験にも基づいていると自分では思っています。こちらで教育関係者の方に向けて文章を書く機会をいただきましたので、次回はまず、私の原点と言えるかもしれない子ども時代の経験について書きたいと思います。

【プロフィール】

太田啓子(おおた・けいこ) 弁護士。2002年弁護士登録、神奈川県弁護士会所属。 離婚・相続等の家事事件、セクシュアルハラスメント・性被害、各種損害賠償請求等の民事事件などを主に手掛ける。明日の自由を守る若手弁護士の会 (あすわか)メンバーとして 「憲法カフェ」を各地で開催。14年より「怒れる女子会」呼び掛け人。19年には「DAYS JAPAN」広河隆一元編集長のセクハラパワハラ事件に関する検証委員会の委員を務めた。20年に出した著書『これからの男の子たちへ :「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)がベストセラーに。共著に「憲法カフェへようこそ」 (かもがわ出版)、「これでわかった! 超訳特定秘密保護法』 (岩波書店)、 「日本のフェミニズム since1886 性の戦い編」 (河出書房新社、コラム執筆)。


この連載の一覧