【写話から浮かび上がる子供(6)】はじめる時とやめる時

博報堂教育財団こども研究所
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最近の小学生は忙しい。そうは聞いていたが、実際に東京都中野区の子供たちは塾や習い事でなかなかのハードスケジュールだった。広島県江田島市、群馬県前橋市、岩手県山田町の子供たちは、中学受験で塾に通う子は少なかったものの、やはりほとんどの子が習い事をしており、中には習い事を掛け持ちしている子もいた。

前橋市のE君の「金メダル」

前橋市のAさんが習っているのは英語。オリンピックで「外国人が結構来るから、おしゃべりできればいいかな」と思って習い始めた。「自分がしゃべれて、みんながしゃべれなかったらカッコいい」と思ったそうだ。江田島市のCさんがバスケットボールを始めたのは、先に習っていたお姉ちゃんの影響だが、チームには「知らない学校(の子)も結構入ってくるから」やりたいと思ったそうだ。習い事を通して友達が増えることを楽しんでいるようだった。

中野区のB君は、お父さんに「野球やる?」と聞かれたのがきっかけだという。野球は「楽しい」そうで、合宿で手にできたマメを写真に撮ってきてくれた。

山田町のD君は、卓球を高校から続けているお父さんの影響で、保育園の頃からやっている。「良いコーチがいるから入れば」というお父さんの勧めで、宮古市のジュニアチームに通うようになった。お父さんは「卓球のドライブでネットミスすると怒る」から「ウザい」と言いながらも、スマッシュが決まったときの楽しさなどを熱心に語ってくれた。

一方で、習い事をやめる理由も興味深い。江田島市のDさんは小学4年生の頃、「もうやることがないから」と水泳をやめたという。「平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ」は「全部できる」。今は次に始めたバスケットボールに夢中のようだった。

中野区のE君は、3歳から続けているラグビーを時々「やめたい」と思うそうだ。「好きでやってるんだけど…なんとなくラグビーばっかやっててもなんか」と、パソコンや動物の飼育など、他にやってみたいことを教えてくれた。

前橋市のE君は、所属するサッカーチームで取った「金メダル」の写真を撮ってきてくれたが、「得意じゃなかった」から最近やめたという。「みんなと比べて点も決めてないし、試合にも出ていなかった」とのこと。始める理由は割とシンプルだが、やめる理由はさまざま。その裏に、人に説明しきれない子供たちなりの複雑な思いを感じた。


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