【写話から浮かび上がる子供(7)】お母さんを想う

博報堂教育財団こども研究所
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岩手県山田町のE君の趣味は魚釣り。小学4年生の時、お父さんと一緒に行ったことがきっかけで始めた。でも今はお母さんと行くことが多いとのこと。お母さんも「ハマって」いて、夜釣りにもしばしば一緒に行っている。魚釣りの話が落ち着いた時、かわいらしいピンクの「小物入れ」の写真が目に止まった。聞くと、今年のお母さんの誕生日に手作りしてプレゼントしたものだという。毎年、誕生日には肩もみ券をプレゼントしているが、今年は「なんとなく」小物入れに決めたのだとか。もしかしたら、魚釣りを通してお母さんとの距離がさらに近くなり、E君なりにお母さんの好みが「なんとなく」分かったのかもしれない。

E君がお母さんのために作った「小物入れ」

山田町のCさんはお父さんとお姉さんの写真は撮ったのに、お母さんの写真は撮っていなかった。気になったので「お母さんは好き?」と問い掛けると「好き。優しいところが好き」と答えてくれた。逆に、お父さんは「好きと普通の真ん中くらいかな」とのこと。「お母さんはいつも頑張っていて、休みの日もしょっちゅう家事をしているし、休む時間も午後しかない」と、気に掛けていた。そんなお母さんの写真は、煩わせないように遠慮してしまったのかなと感じずにはいられなかった。

東京都中野区のDさんのお母さんは医師で、「ずっと患者さんを診ているし、勤務地も家から遠いから大変」と話してくれた。確かに、自宅から電車で通うと1時間はかかる場所だった。お母さんの仕事については、「(自分は)なりたくない。治してくれるのはすごいけど、血とか見たくない」と、尊敬の気持ちと複雑な心境が垣間見えた。もっと話を聞こうとすると「パス」と口を閉じてしまった。それでも「お母さんの好きなところを教えて?」と聞くと、「普通に親として好き」と、あっさりした答えが返ってきた。インタビュー後、Dさんのお母さんは「働く母としては『自分は医者になりたくないけど、でもかっこいい!とは思っている』と、うそでもコメントしてほしかった」と笑いながら話してくれた。

お母さんは、いかなる時も子供のことが気になるもの。それは子供も同じで、今回紹介しきれなかった子供も含め、どの子もお母さんの日頃の様子をよく見ていると感じた。


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