【写話から浮かび上がる子供(9)】第三の大人

博報堂教育財団こども研究所
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「写話調査」では、人物をたくさん撮ってくる子もいれば、物や風景ばかり撮ってくる子もいる。東京都中野区のC君は「人物派」で、お父さんやお母さんの写真以外に2人の写真を撮ってきてくれた。その中の1人は歯医者さんで、「めっちゃ優しい。心の準備とかもさせてくれる」と言う。さらに「にいに」というタイトルをつけた写真には母方の叔父さんが写っていて、「ママが日曜日に仕事が入ったときに世話をしてくれる」とのこと。たくさんの大人たちに囲まれながら育っている様子が目に浮かぶ。

中野区のC君が好きな歯医者さん

子供にとって身近な大人とはまず親で、次は学校の先生になるだろう。親と先生以外の大人にどれだけ日常的に接しているかは個人差が大きく、そうした「第3の大人」が与える影響は小さくないように思われる。

群馬県前橋市のC君は、「17年以上、うちの家にくるヤクルトさん」というタイトルで、玄関先でニッコリ笑ってヤクルトを持つ「ヤクルトさん」の写真を撮ってきてくれた。「自分が生まれる前からうちに来ているヤクルトさん。すごく仲が良い。車が好きらしくて、乗っている車の中を見せてもらったりしている」とのことだ。

広島県江田島市のDさんは、バスケットボールが大好き。今回はクラブのコーチの写真を撮ってきてくれた。「試合のときは怖いけど、練習のときは面白い」と言うDさんに、コーチのことが好きかと聞いてみたところ、「好きじゃない。怖いから」とのこと。プロの指導者であるスポーツクラブのコーチは、厳しく指導してくれる大人として貴重な存在に違いない。

冒頭で紹介した中野区のC君は例外的で、子供たちが撮ってくれた大人の写真は、両親、祖父母、兄弟がほとんどだった。今回の4エリア全て合わせて、厳密に「第3の大人」(家族と学校関係を除く)と言えるのは、4地点計777枚のうち上に挙げた4枚だけという結果だった。

今の子供たちが、家や学校以外の大人たちと親密な関係をつくる機会が少ないことの表れなのかもしれない。


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